中央図書館 関口 真紀
飯田市は今年、環境文化都市30周年になります。「環境への取組が私たちにとってあたりまえの文化になる」という環境文化都市のコンセプトを将来につなげていく、そのためには生活の中の楽しみが環境の取組になったらステキだと思いませんか。「例えばどんなこと?」、それでは本をご紹介しましょう。
私は、今年の2月からコンポスト生活を始めました。コンポストとは「堆肥」という意味の英語で、生ゴミや落ち葉などの有機物を微生物のはたらきによって発酵・分解させること、またはその容器のことを言います。生ゴミがゴミにならず土に還っていく、微生物によって野菜の屑の姿が消えていくその様子を眺めるのはとても面白いものです。その面白さを教えてくれたのがこの本です。
コンポストにはさまざまなタイプがあり、庭がなくてもできます。トラブルが起きた時の対処法やコンポスト生活をしている人の事例紹介も参考になります。毎日、生ゴミが出るたびにやらなくても、自分のできる範囲で楽しみながらやることが大事と言ってくれているのも嬉しいところ。
コンポストを軸に自然の循環を少し実感できるようになり、興味が広がりました。
この本は飯田市内の古木・名木を、地区別に写真と解説文とで紹介しています。川路のネズミサシなど、今はなき古木・名木の姿も掲載されており貴重な資料です。この本の序文には、「古木には その時々に生きた 人々の想い 喜び 哀しみ そして 歴史が秘められている」とあります。この本を手掛かりに、地域の中にたたずみ人々の生活を見守ってきた古木・名木を巡り、飯田市の自然の恵みに思いを馳せる、それも環境の取組につながるのではないでしょうか。
著者のカレル・チャペックはチェコの作家で、小説のほか戯曲や童話も書いています。兄で画家のヨゼフ・チャペックと一緒にプラハの街に住み、兄弟で小さな庭園を慈しんでいました。この本はその小さな庭園の園芸体験から生まれた作品です。
時は1929年世界恐慌の頃、チェコでは階級闘争が激しく、ナチスの勢力が入り込む前の暗雲立ち込める社会情勢であった時代です。そんな時代に、チャペックは土を耕し、植物を育て、季節のめぐりを見つめる園芸家の姿をユーモラスに描きました。そこには、社会が大きく揺れ動く中でも、自然の循環を尊重することの大切さが強調されているように感じます。「わたしたち園芸家は未来に対して生きているのだ。」その言葉はこの作品の全てを物語っているようで印象的です。
園芸が好きな方もそうでない方もチャペックの描く世界を楽しむことができ、自然との共生や持続可能な暮らしを考えるきっかけとなる1冊です。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。