上郷図書館 田中 瑞絵
みなさんには「ついやってしまった」という経験はありませんか?時間を忘れて「つい夢中になってしまった」ことは?「つい買ってしまった」なんてこともあるかもしれません。誰でも一度は経験したことのある「つい」の秘密に関する本を紹介します。
ある場所にバスケットゴールの付いたゴミ箱があったらどう思いますか?ゴミをゴールにシュートしてみたくなりませんか。外れれば入るまでやりたくなりますし、シュートがうまく入れば気分も爽快!思わず笑顔になってしまいます。また、のぞき穴を見かけたらどうでしょうか。つい立ち止まり、その穴をのぞいてみたくなります。これが「仕掛け」の原点です。「仕掛け」とは人の行動を促したり、変化させたりするために考えられた仕組みのことで、こうした仕組みを学問として発展させたものが「仕掛学」です。
著者は元々AIの研究者でしたが、ある時「世の中のほとんどの事象はAIで扱えるデータになっていない」ことに気がつきました。人が五感で感じる部分や、いろいろな心の動きはデータとして表現できません。AIで扱えない事象の課題解決をしていきたいとの考えから、この「仕掛学」という学問分野を築き上げました。
ここでいう「仕掛け」にはルールがあります。仕掛けた側と仕掛けられた側がどちらも不快にならず、「思わずやってみたくなる」きっかけを与える事で、「ゴールにシュートを入れたい」という目的と「ゴミをゴミ箱に入れてきれいにする」というような二つの目的を一つの行動で叶えることができるというものです。
この本では著者が街中で見つけたさまざまな仕掛けの実例も楽しむことができます。ユーモアあふれる仕掛けの世界をのぞいてみませんか?
ついやってしまう、つい夢中になってしまう、つい誰かに言いたくなってしまう…。人の心を動かし「つい○○してしまう」行動を起こさせる仕組みを、元・任天堂の企画開発者である著者が、有名なゲームを題材にわかりやすく解説し、「つい」の秘密を解き明かしていきます。
「ついやってしまう」をさせるには、仮説を立て、検証し、仮説が当たって歓喜するという一連の行動を自発的に行い、心を動かす体験をさせることが重要です。人がゲームをおもしろいと思うのは、ゲーム自体がおもしろいというより、この体験がおもしろいからなのだそうです。
本書ではこの「心を動かす体験」をさせる仕組みについてわかりやすく書かれています。また、文章の組み立てが、問題が出題され、考え、答えを知るといった流れで書かれているため、読み進めるうちに自分も自然とこの体験をしていることに気がつきます。実際に体験しながら読むことで更に理解が深まるような気がします。
後半には「体験のつくりかた」の使い方(実践編)もあり、具体例もたくさん載っています。ビジネスだけでなく日常生活にも生かせる一冊です。
ついのぞいてみたくなるものといえば、穴。この本では思いつく限りの穴をたくさん集めてあります。のぞいてみたい穴、入ってみたい穴、生活を便利にしてくれる穴、おいしい穴、穴、穴、穴!
世界には穴の中に遊園地があったり、ずっと火が燃え続けている穴があったり、人が住む街がある穴があったりもします。また、穴を掘ることで地球の歴史がわかったり、資源を見つけることもできます。
こうして見ると、私たちは常に穴に囲まれて生きているのだと驚きます。もしかしたら、穴がなければ生きていくことも難しいのかもしれません。
気になる穴の奥に一体何があるのか、この本で確かめてみてください。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。