中央図書館 岩橋 夏央
早いもので、もう2026年も折り返しが近づいてきました。そろそろ、梅雨の時期に入りますね。毎朝、天気予報を確認してから家を出る方も多いのではないでしょうか。今回は、空の様子がコロコロ変わる時季に読みたい天気や空に関する本をご紹介します。外に出られない日は、お家でゆっくり読書はいかがですか?
私はこの本を読んだ時、最近空を見上げた記憶がないことを悔やみました。いったいいくつの機会を逃していたのかと。特に心を奪われたのは、薄明の時間帯に見ることのできる「ブルーモーメント」という現象についてです。あたり一面が深い青に染まる現象のことで、掲載されている写真を見て一度はこの景色を直接見てみたいと思いました。見たいと思える空を探しながら読むのもおすすめです。
また、おもしろいなと思ったのは、雨粒の形についてです。一般的に描かれるような頭が尖った雫型の形は物理的にあり得ないそうです。実際にはおまんじゅう型(楕円のような形)か球型にしかなりえず、雲の中での雨粒の成長過程にも差があると知り、小さな雨粒にも違いがあるのだと思いました。
晴れた日の空ももちろん素敵ですが、雨の日にも曇りの日にも時間帯によっても空の個性があって面白いことをこの本を通して知りました。疲れたなと思うとき、ちょっと休憩したいときに空を見あげてみてはいかがでしょうか。その瞬間にしか見ることのできない空があるはずです。そしてぜひ、この本を読み終えた際には空を見上げてほしいと思います。きっといつもより空が美しく見えるはずです。
中谷 宇吉郎(なかや うきちろう)という人物を知っていますか?1900年に石川県で生まれ、世界で初めて雪の結晶を人工的に作り出した日本の科学者です。また、「雪は天から送られた手紙である」という言葉で知られる随筆家でもあります。私はこの言葉を初めて聞いたとき、「素敵な言い回しだな。」と思ったことを覚えています。この本は、そんな中谷 宇吉郎の61年の生涯を書いた本です。
中谷は、アメリカで出版されたウィルソン・ベントレーの『Snow Crystals』(別ウインドウで開く)という雪の結晶の写真集に心を奪われ、雪の結晶の研究を始めました。ただし、雪の結晶について調べるのには、顕微鏡が必要で、なおかつ、雪が解けない環境でしか観察ができませんでした。そこで、中谷はマイナス30度の中で、顕微鏡をのぞき続けたのです。過酷な環境の研究の中で、気温と湿度の条件によって雪の結晶がどのような形になるかを示した図表を作成し、地上に落ちてきた雪の形を見るだけで、上空の気象条件がわかるようになりました。これは現在も続く雪の研究の基盤になっているそうです。“天から送られた手紙”に魅了され空からのメッセージを解き続けた、中谷 宇吉郎の生涯を覗いてみませんか。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。