中央図書館 木下 陽子
「あなたがムーミンのキノシタさん?」過去のよむとすでムーミンをテーマに本を紹介した時、利用者の方からそう声をかけていただきました。あれから10年近く経ちますが今でも私の愛読書はムーミンです。今回のよむとすを書くタイミングでムーミンの関連本が出版されました。その本を読んでいると一緒に紹介したい本がどんどん増え決められなくなりました。悩んだ結果、ムーミンのキノシタは決めました。新しい本の紹介文の中にほかの本をこっそり忍ばせようと。
この本が新しく出版された本です。ムーミンの話に関する「もの」の中から厳選された100点を紹介しています。登場人物の持ち物、ムーミン屋敷の品々、ムーミン谷や冒険をめぐる品々、作者のトーベ・ヤンソンをめぐる品々といった項目別に並んでいます。その中からいくつか紹介します。
まずは登場人物の持ち物からひとつ。
みなさんは愛用品がありますか?愛用品からその人が大切にしていることや考え、さらには、その人がどんな人なのか見えてくると思います。ムーミン谷に住む人たちにもそれぞれ大切にしているものがあります。例えばスナフキン。彼はいつもリュックサックを持ち歩いています。中には釣り竿、鍋、コップ、テント、ハーモニカ、パイプが入っています。彼が生きていくうえで必要な最低限のものだそうです。これらから質素で心豊かに暮らすスナフキンの生き方を垣間見ることができます。
続いてムーミン屋敷の品々から瓶詰めのジャムを紹介します。
ムーミン谷では朝食、昼食、おやつにも食べるパンケーキにジャムを塗るのでジャムはかかせません。時期になるとみんなで果物や野菜を収穫し瓶詰めのジャムを作ります。ジャムを食べてしまった後の空の瓶も竜をペットとして飼いたいと思ったときなどに役立ちます。
なお、ジャムの作り方をはじめ、庭や菜園、海、森の恵みを使った料理のレシピ本『ムーミン谷のしあわせレシピ』(別ウインドウで開く)(トーベ・ヤンソン/絵と引用文 末延 弘子/訳 講談社)もあります。
ムーミンの物語の中には物の出現によってストーリーが展開されていくことがあります。この本のムーミン谷や冒険をめぐる品々で紹介されている飛行おにのぼうし、ルビーの王さまは『たのしいムーミン一家 ムーミン全集2巻』(別ウインドウで開く)(トーベ・ヤンソン/著 山室 静/訳 講談社)の物語の進行には欠かせません。
また、物の出現でストーリーが始まる絵本もあります。『ムーミン谷へのふしぎな旅』(別ウインドウで開く)(トーベ・ヤンソン/作 渡部 翠/訳 講談社)です。スサンナという女の子が奇妙な眼鏡を見つけます。その眼鏡はかけるといつもと違うあべこべな世界が見えます。彼女は怖いと思いながらも、そのゾクゾクするほど素敵で不思議な風景に惹かれ歩みを進めます。そこで出会った仲間たちと一緒にムーミン谷を目指す話です。この話の要となる眼鏡は100点には選ばれていませんが眼鏡が現れた経緯がおもしろいので紹介しました。
「もの」からムーミンの世界に迫る機会はなかったのでこの本は新鮮でした。オールカラーでトーベ・ヤンソンのオリジナルイラスト入りです。みなさんも「もの」からムーミンの秘密をさぐってみませんか?
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。