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よむとす No.365 伊那谷の豊かな自然

[2026年5月1日]

ID:1241

伊那谷の豊かな自然

中央図書館 篠田 眞利

飯田市が『田舎暮らしの本』(宝島社)2026年2月号(別ウインドウで開く)の「住みたい田舎ベストランキング」で人口別総合部門1位にランクインしました。飯田市が評価されたことはとても嬉しく、また誇らしいですね。では飯田市の魅力って何だろうと考えてみると、自然が豊かであることが一番の魅力なのではないでしょうか。今回は飯田市がある、この伊那谷の自然に関する本を紹介します。

『風越山物語 信州飯田市民が愛する名山』

『風越山物語 信州飯田市民が愛する名山』(別ウインドウで開く)
平沢 忠明/著 南信州新聞社出版局 2018年10月

伊那谷の自然といえば、私は何と言っても風越山!喜びの日も悲しみの日も、いつもそこには変わらない風越山が私達をあたたかく見守ってくれているように思います。
この本は飯田のこと、風越山のことをもっと知りたい、これから風越山に登りたい、という方にお勧めです。南信州新聞で平成18年から30年まで掲載したものをまとめたものになるので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。著者である元新聞記者の平沢忠明さんが文化の山、信仰の山の両面から詳しく解説してくれています。
文化の山としては、小説で描かれる風越山、そして多くの歌人に詠まれ和歌として残る風越山をそれぞれの作家毎に取り上げています。特に歌人西行が風越山を詠んでいるなんて驚きです。
信仰の山としては、年表の始めに「養老元年(西暦717年)泰澄大師が白山を開山し、山岳信仰・修験道の聖地とする」とあります。その後も数十年おきに補修などを繰り返し、1300年以上も人々の手で守られてきた風越山。地元の方々の支えあっての風越山なのだと改めて感じます。そして至る所に信仰の跡があります。ふもとの白山町2丁目には「白山社遥拝所跡」と刻まれた石柱が建っています。江戸時代前期頃には、登山参拝できない里の人々も、この場所から山頂を望み、手を合わせていたそうです。
本書の口絵に見たことのない可愛らしい植物や奥宮、石仏などの写真が紹介されています。風越山は自然・文化ともに、なんて豊かなのだろうと感心します。先人達が畏れ敬い、長い間守られてきた自然豊かな信仰の山、風越山を私達も日々仰ぎ見て感謝し、大切に守り1000年、2000年先に繋いでいきたいですね。


『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』

『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』(別ウインドウで開く)
デイヴ・グールソン/著 藤原 多伽夫/訳 NHK出版 2022年8月

ここ飯田市に暮らして30年ほど経ちます。引っ越してきた当時と比べて随分と街灯に止まる虫が減ったと感じます。半分以下になっているのです。虫が減るという事は、何が起きているのか、自然はどう変化しているのかとても気になります。
レイチェル・カーソン『沈黙の春』(別ウインドウで開く)が1964年翻訳刊行され、鳥が鳴かない未来になってしまったらと訴えかけ、農薬DDTが世界的な問題となりました。
ではその後60年経った今、世界の自然、生物はどうなっているのでしょうか。生物学の大学教授で昆虫大好きな著者が、虫について熱く語り(特にマルハナバチ)、昆虫の不思議や、実際に世界の昆虫は減少していることを危機感をもって教えてくれます。60年前よりも農薬・化学肥料の問題は一層深刻になっており、汚染された土地として日本の宍道湖の研究データも載っています。生物減少の原因は、農薬の問題だけでなく気候変動や、生息域の消失、病気、光害などいくつもあるようです。そして私たちにできることとして、たくさんのことを紹介しています。私にできそうなことは、買い物の際の選択や食物を自分で育てる、知るということなど。掲載写真のマルハナバチはとても可愛らしいです。知ることで共に生きる昆虫が身近なものとなりますね。
鳥のさえずりや虫の羽音が響き合う美しい伊那谷。この自然豊かな伊那谷から受けた恩恵を次世代の子ども達に手渡すために、今できることは何かと考えさせられる一冊です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。