中央図書館 青島 颯希
「寝る前に少しだけ……」と本を手に取ったり、スマホを見たり、片付けを始めたり。気づけばやめ時を失って、ついつい夜更かししてしまうことはありませんか。逆に「早く寝なきゃ」と焦る日に限って、目が冴えてしまうのも不思議なものです。寝たくない夜もあれば寝たいのに眠れない夜もある。そんなままならない夜を、誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。今回は、そんな眠れぬ夜に手に取ってほしい本を紹介します。
この本は、直木賞作家の千早茜さんが紡ぐ眠れない夜にまつわる短編集です。夜の静けさの中でふと蘇る記憶や、言葉にならない細やかな感情が丁寧に描かれています。全編通して素晴らしいのですが、私は中でも第三夜・『水のいきもの』と第七夜・『夜の王』が特にお気に入りです。
『水のいきもの』の主人公は、小さい頃から眠ることが大好きでした。けれど大人になった今は、あの頃のようにすんなりと眠りにつくことができません。明日の仕事を思うと、焦りから何度もスマホで時間を確認してますます目が冴えてしまいます。そんな焦燥感に駆られた彼女は、真夜中の散歩へと出かけます。そこで訪れる思いがけない出会いの描写には、思わずドキッとしてしまうような緊張感がありました。
もうひとつの『夜の王』は、家族が寝静まった後の「犬」の視点で描かれています。家族が見ている前では決してできないイタズラを謳歌する姿が、実にチャーミングです。子どものおもちゃを咬んだり、鞄の中をあさったり、普段は立ち入り禁止の台所を闊歩したり……。さらには、こっそり外へ抜け出して夜の冒険へと繰り出します。自由気ままに動いているようでも、彼の行動の端々には必ず家族との思い出や愛情が滲んでいます。いつも家族を見守り、深く愛しているその健気さに読み終えた後は心がじんわりと温まりました。眠れぬ夜を過ごす誰かの心にそっと寄り添ってくれるような一冊です。
みなさんは、自分がみた夢を覚えていますか。私はほとんど覚えていませんが、ごくまれに鮮明に覚えている時があります。なぜ特別な内容でもないのにこれほど記憶に残っているのか不思議に思っていた時に手に取ったのが、この本です。
著者は夢の専門家であり、本書では夢の正体や夢からわかること、夢はコントロールできるのか、など奥深い夢の世界を詳しく紹介しています。
特に驚いたのは、夢はただ覚えてないだけで毎日みているということです。他にも、夢の役割や性格・年代によって夢の内容に大きな差があることなど、初めて知る真実ばかりで衝撃の連続でした。中でも興味深かったのが、年代別の夢の内容です。子どもの頃はファンタジックな可愛らしい夢が多いのに対し、大人になるにつれて勉強や仕事、人間関係といった現実的な内容に変わっていく様子には、思わずクスリと笑ってしまいました。
また、著者がこれまで聞いたユニークな夢も紹介されており、他人の夢を覗き見るような楽しさもあります。後半には、好きな夢をみる方法や夢見をよくする方法など、実用的なことも書かれています。
書名の通り、読んだらすぐに眠りたくなる一冊です。心地よい眠りと夢を楽しみたい方におすすめです。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。