中央図書館 遠山 百合香
今年1月中央図書館の「おたのしみ本」に「ちょっと好き」と言うテーマがあったことをご存知でしょうか。私には熱烈に追いかけている「推し」もいないし、自信をもって「これが大好き」と言えることがすぐに思い浮かびません。けれど、ちょっと好きな事ならたくさんあります。今回は私のささやかな好きなことにお付き合いください。
私は喫茶店で過ごす時間が好きです。コーヒーの香りと、心地よいおこもり感。そんなほっとひと息つける癒しの空間に惹かれます。
主人公のおじさん、松尾純一郎もそんな喫茶店を愛するひとり。彼はバツイチで無職、趣味は純喫茶巡り。大手ゼネコンを早期退職した退職金で始めた喫茶店を半年で潰してしまった人生。今の妻と娘とも別居中で、再就職も営業職という厳しい現実。喫茶店に行き癒され、そして自分の人生について考えるおじさん。一見すると悲しい人生で、「考えが甘いなぁ、もっと頑張りなよっ」と突っ込みたくなる場面もありますが、彼が美味しそうにその店の看板の味を堪能する姿を見ていると、不思議と羨ましくなってしまいます。
たくさんの喫茶店、美味しそうなメニューと共に進む物語を読み終わった後には、思わず喫茶店巡りに出かけたくなります。不器用なおじさんの生き方と、喫茶店の魅力が詰まった小説です。
昨年末、飯田文化会館で開催された萩元晴彦ホームタウンコンサートへ行ったことをきっかけに、クラッシック音楽を聴くことが好きになりました。
本書は、その時に演奏されていたヴァイオリニスト・石田泰尚さんの著書です。表紙のように見た目は硬派。奇抜な服装や髪型も個性的です。これまでの歩み、礼儀と謙虚さを大切にしていることや練習に向き合う厳しい姿勢。また、具体的な大きな目標を言葉に出して次々と実現していく「有言実行」の姿。外見からは想像できない彼の内面を知る事ができます。自ら立ち上げた弦楽合奏団「石田組」では、クラッシックのみならずロックや映画音楽なども演奏します。組長として、また、コンサートマスターとして組織をまとめるリーダーとしての頼もしさも伝わります。
音楽に対する情熱や真摯な姿勢がよくわかる、人間味豊かな1冊です。
私は、間取り図を見ることが好きです。数年前にマイホームを建てたところなので、現在のところ建替えの予定はありません。ただ純粋に間取り図を眺めて、「こういう間取りの家だったら…」と想像し、ひとり密かに楽しんでいます。
本書は、優しい感じの手書きのイラストで描かれていて、図の中にはこだわりのポイントが細かく書き込まれています。自慢したい場所は写真でも紹介されています。私は、洗濯機を置けるサンルームや、玄関つながりの土間収納など子供の帰宅後を考えた間取りに強く惹かれます。理想だけでなく、家族構成や予算、趣味、現代の暮らしに合わせた何通りもの間取りが提示されています。実用性と空想の楽しさを味わえる1冊です。
コロナ禍以降の新しいライフスタイルから考えられた例を含む『間取りのお手本 続き』(別ウインドウで開く)や、厳選された100の間取りが掲載された『間取りのお手本THE BEST 100』(別ウインドウで開く)も併せてお勧めします。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。