中央図書館 宮内 萌
中央図書館は昨年開館110年を迎え、大きな節目の年となりました。これからも市民のみなさんの「知りたい」や「読みたい」をお手伝いしながら、読書の輪を広げるために市民のみなさんと一緒に歩み続けていきたいです。
今回は、“つづく”にまつわる本を紹介していきます。
図書館では、「この本の続きありませんか?」や「前に読んだ本をもう一度読みたい」というお問い合わせをよくいただきます。もし、前に読んだ本の登場人物が「読んでくれたみなさんが今何をしているか、みなさんの続きが知りたい」と思っているとしたらわくわくしませんか?この本はそんな“もし”を描いたお話です。
40代の山神桃さんは小学校6年生まで過ごした町に戻ってきて図書館で働き始めました。ある日、絵本の中から飛び出してきた「はだかの王様」からある女の子の続きが知りたいと言われます。その女の子は昔『はだかの王様』を読んでいた子で、今どうしているのか知りたいと頼まれ、桃さんは巻き込まれる形で女の子を探しはじめるという内容です。ファンタジーではありますが、『はだかの王様』以外にも実際に出版されている絵本が登場するので、どこか身近に感じられる物語です。
こどもの頃の記憶をたどる展開に引き込まれ、桃さんと絵本から飛び出してきたキャラクターとのつながりに思わず胸が熱くなります。こども向けに書かれた本ですが、桃さんの考え方や物事の感じ方など年齢を重ねたからこそ共感できる部分があり、大人の方におすすめしたい一冊です。
私は幼いころから童謡を歌ったり、聴いたりしてきました。日常生活では味わえない日本語の美しさや、自然の景色を感じることができる童謡をこれからも歌い継いでいきたいという思いでこの本を紹介します。
童謡・唱歌の音読は、脳のトレーニングや健康効果、心の栄養につながるという齋藤孝さんの考えのもと、今のこどもたちに歌い継いでいきたい歌が101曲紹介されています。歌詞に対する解説もあり、深くその歌を知ることができます。改めて歌詞を見てこういう意味だったのかとか、この字があてられていたのかなど驚くことが多かったです。
例えば、「アメアメ フレフレ…」で始まる、「アメフリ」(北原白秋・詞 中山晋平・曲)は、単純に雨が降って楽しい歌と思っていました。実際にはお母さんが迎えに来る嬉しさを表現している歌であること、また、恥ずかしながら、「ジャノメ デ オムカイ…」のジャノメは蛇の目傘のことというのもこの本で知りました。
新たな発見をしながら、日本の風情を感じながら読んでもらえるといいなと思います。
続けるというのは何事においても簡単にできることではありません。この本では、ロングセラー商品に焦点を当て、長く愛され続けている背景をひもといています。
印象に残った商品の一つが、コクヨのキャンパスノートです。多くの方が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。何度かリニューアルされていますが、リニューアルが決まると学生から社会人まで幅広い人を対象に調査を行い、徹底的なリサーチを実施します。そのときに重視しているのが、「嫌い」が少ないデザインにすることだそうです。「好き」が多くて、同時に「嫌い」も多ければ採用は見送るそうです。「好き」の数が多いほうに決まりそうですが、あえて「嫌い」が少ないデザインにすることで、使う人や使い方が限定されず、長く使い続けられる商品になり、そして、商品を考え、作り、売る、それぞれの想いや工夫が積み重なることがロングセラーとしてつづいていく理由であると感じました。
図書館も、誰にとっても使い“にくさ”のない、安心して利用できる場所として息の長い信頼を積み重ねていきたいです。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。