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よむとす No.351 『どんなにきみがすきだかあててごらん』

[2025年9月15日]

ID:1203

『どんなにきみがすきだかあててごらん』

【羽場】 牧内 雫

あなたは大切なひとに気持ちを伝えられていますか?思っていることは、表現しないと伝わりません。いつも、美味しいご飯を作ってくれてありがとう。話を聞いてくれてありがとう。そばにいてくれてありがとう。気持ちを表現することは、とても大切なことです。
思いを伝えるのが難しいあなた。そんなあなたに、ぜひ読んでほしい絵本があります。

『どんなにきみがすきだかあててごらん』

『どんなにきみがすきだかあててごらん』(別ウインドウで開く)
サム・マクブラットニィ/文 アニタ・ジェラーム/絵 小川 仁央/訳 評論社 1995年10月

この本には、2匹のうさぎが出てきます。デカウサギと、チビウサギです。チビウサギが言います。「どんなにきみがすきだかあててごらん。」デカウサギは答えます。「そんなこと、わからないよ」チビウサギは「こんなにさ」と思いっきり腕を伸ばします。すると、デカウサギは「でも、ぼくはこーんなにだよ」といってさらに大きな腕を伸ばすのです。
2匹は、自分が相手のことをどれだけ好きなのか、言葉を使い、ときには体を使って伝えあいます。その描かれている姿は2匹ともとても幸せそうです。小さいうさぎはまだまだ幼いようで、言葉の表現や動きにも拙さが表れています。それでも自分が知る全てを使って「好き」を伝えている姿を見て、私は難しい言葉やたくさんの言葉を使うことだけが大切ではないと気がつくことができました。
この本に出てくる2匹のうさぎは、どのような関係なのかは書かれていません。ただのデカウサギとチビウサギです。お母さんと子供なのか、お父さんと子供なのか、友達かもしれないし、兄弟かもしれないし、もしかしたら恋人かもしれません。関係性が書かれていないからこそ、自分と、自分が「好き」を伝えたい人を思い浮かべて読むことができます。また、これは、相手が誰であれ、気持ちを伝えることは確かなものだということを教えてくれるのではないでしょうか。
この本を読んだあなたが、あなたの大切な気持ちを、大切な誰かに伝えられたら、それはとても素敵なことだと思います。



令和7年度に、飯田市立中央図書館は開館110周年を迎えます。記念事業のひとつとして、本と人との出会いの場を広げるために、市民の皆さんからもおすすめ本紹介文を募集し、「よむとす」として掲載していきます。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。