【座光寺】 小林 由美子
事故で脊髄損傷となり、身体の自由を奪われ、仕事も追われたヒロイン。社会保障は受けられるものの、まだ自分にできることはあると不屈の精神で自ら看板掲げてのビジネスをしようと思いたつ、それが弁護士への道。
音声変換システムを使って司法試験に合格。自分の事務所をもち、かねて思いを寄せ合っていた彼と結婚する。
重い障害を負ってしまうと、緩やかな退職勧告がなされ、自分で看板を掲げるような仕事にしかつけないこと、リハビリは有効ではあるが、持続するには不屈の精神が必要なことなど、リアルな生活が書かれています。
作者は東大法学部卒、ご自身も現役弁護士でもある新川帆立さん。新川さんは健常者ですが、この本をかくにあたり、全国脊髄損傷患者協会から協力を得て、モデルとなった脊髄損傷患者さんにも取材されています。個人的には24時間テレビのドラマになりそうと思いました。
あとは、本文とは関係ないのですが、スーパーマンを演じたクリストファーリーブさんの人生が重なります。
スーパーマンという最高のヒーローを演じたクリストファーさんは、落馬により、脊髄損傷にて車いす生活。もうこれまでと思い奥様に離婚届けを渡します。でも、奥様は偉い。あなたは私にとって永遠のスーパーマンだから今後も宜しくと言って離婚届けを反故にした。それからのクリストファーさんは積極的に福祉イベントに参加してリハビリも頑張った。観客からスーパーマン!と声がかかれば和やかに微笑み返ししていたそうです。落馬がなければ、脊髄損傷がなければスーパーマンを演じた俳優に過ぎない。けれども、障害を負うことで真の評価がなされ、永遠のスーパーマンになれた方。奥様も偉いね。
本文に、「どんな過酷な状況に置かれても上手に幸せを見つけてくる人はいる…」深い言葉です。
新川帆立さん、ひまわり…。
ひまわりは自ずとしれた弁護士の象徴でもあり、太陽のような花でもあります。
【羽場】 井原 知花
この本は、ある日、神様の御用を聞く『御用人』となった主人公の話です。神様の御用、それは、神様達の悩みでもありました。一巻のあらすじには、「神様にだって願いはある」という一文があります。私たちが神頼みをするように、この本では神様が人に頼みを言っています。
くすっと笑えるような話であったり、泣ける話であったりと、読者の心をつかむ本です。また、神話に沿っての物語もあるので、この本と一緒に古事記を読むと面白いかもしれませんね。
神様達の意外な一面が見られる「神様の御用人」。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
令和7年度に、飯田市立中央図書館は開館110周年を迎えます。記念事業のひとつとして、本と人との出会いの場を広げるために、市民の皆さんからもおすすめ本紹介文を募集し、「よむとす」として掲載していきます。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。