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よむとす No.335 いい湯だな

[2025年1月15日]

ID:1156

いい湯だな

中央図書館 青島 颯希

皆さん、お風呂は好きですか?私は、一日の終わりにぽかぽかのお風呂に入ってのんびり過ごすひと時が大好きです。特に、寒い季節はついつい時間を忘れて入ってしまいます。こどもの頃は湯船につかってゆっくり…なんて考えたこともありませんでした。それが、今となっては欠かせない至福の時間です。お家で気兼ねなく入るお風呂も、たまに自分へのご褒美に温泉に行ってのびのびと満喫するひと時も、どちらも違った良さがありますよね。今回は、そんなお風呂にまつわる本を紹介します。

『風呂と愛国』

『風呂と愛国』(別ウインドウで開く)
川端 美季/著 NHK出版 2024年10月

私にとって、毎日お風呂に入ることは当たり前のことでした。こどもの頃からの習慣だからというのもありますが、汚れや疲れを洗い流してすっきりできるから毎日入りたいと思うのです。しかし、少し前にSNSで「風呂キャンセル界隈」(疲れていたり面倒になったりしてお風呂に入ることをやめてしまう人たち)の存在を知り、私は衝撃を受けました。そんな中、出会ったのがこの本です。
日本人は海外の方と比べても風呂好きのイメージがありますよね。公衆衛生史を専門とする著者が、「毎日風呂に入る」という習慣が、どのようにして日本の国民性の一部となったのかを歴史的に紐解いています。「風呂」というものが日本に伝わったのはいつなのか、どのように普及したのか、風呂の文化は海外とどう違うのか、などお風呂の歴史をわかりやすく解説しています。日本人は昔から風呂好きだと思っていましたが、実はそれは近代になって浸透したイメージだということや、入浴が医療の一つとされていたことなど、これまで当たり前だと思っていた習慣の知られざる背景に驚きの連続です。お風呂のことをもっと深く知りたい方におすすめです。

『巡礼の家』

『巡礼の家』(別ウインドウで開く)
天童 荒太/著 文藝春秋 2019年10月

著者の故郷・愛媛県の道後温泉を舞台にした物語です。行く場所も帰る場所も失った少女が、古くから続く温泉宿「さぎのや」に辿り着きます。女将から声をかけられるも、最初は警戒して心を開かない少女。しかし、そこで出会う優しくも厳しく、そしてどこか懐かしい人々によって少女の心は少しずつ変わっていきます。
心に沁みる温かい物語で、人と人の繋がりがいかに大切なものなのか実感しました。そして、生きる希望と勇気を与えてくれます。道後温泉に足を運んでみたくなりました。

『ぼくのおふろ』

『ぼくのおふろ』(別ウインドウで開く)
鈴木 のりたけ/作・絵 PHP研究所  2010年7月

ある日、主人公の男の子がお風呂に入ろうとしてふと思います。「まいにち まいにち おんなじ おふろ。たまには ちがう おふろに はいりたい」と。こんなお風呂はどうだろうと、迷路のお風呂や電車のお風呂、空飛ぶお風呂など、ありえないけど楽しいお風呂の数々を想像します。ページをめくるたびに出てくるユニークなお風呂に心躍る絵本です。1秒でも早くお風呂から出たかったこどもの頃の私に、読んでほしいと思った一冊です。読んだらきっとお風呂に入る時間をもっと楽しくしてくれます。後半、男の子はおにいちゃんとお風呂の世界へ冒険に出かけます。男の子は無事に帰ってくることができるでしょうか?気になる方はぜひ手に取ってみてください。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。