上郷図書館 小沢 朋弥
数多くの著作で知られる児童書作家の杉山亮さん。その経歴はとてもユニークで、20代は保育士、30代はおもちゃ作家、40代で児童書作家に、さらに50代からはストーリーテラーという肩書を加えて多方面で活躍されています。
中でも「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」は30年以上続くロングセラー。前半が事件編、後半が解決編の2部構成で、主人公と一緒に手がかりをたどって事件の謎を解くことができます。私が小学生のころ(20年以上前)もいまも、こども達に大人気です。こどもの頃に親しんだ大人の方も多いのではないでしょうか。
先に紹介した通り、ずっと「子ども世界」を渡り歩いてきた杉山さんは、こどもの読書についてもSNSなどで発信されたり、全国各地でご講演されたりしています。
そんな杉山さんが11月に来飯されるのに合わせて、数多くある著作からほんの一部をご紹介します。
大人から見れば何でもないものでも、こどもにとっては宝物。誰しも、そんな経験があるのではないでしょうか。
姉のともこと弟のたかしは、自分の「たからもの」を見せ合い、ときどきとりかえっこをします。ともこの、いかにもお姉ちゃんらしい強さと知恵の働かせ方、たかしの「ぼくもほしかったのに」とこぼしつつも、自分の宝物に自信を持っている明るさと素直さが可笑しくもほほえましいです。
我が家でも3歳の娘に、本人が「よんで」と持ってきたので、膝にのせて読んでみました。娘は次々紹介される宝物に釘付け。まだ早いかな…と思っていましたが、最後まで楽しんでいました。おはなしと絵の両方が絶妙に噛み合って、こどもを魅了しているのを実感しました。かつてこどもだった頃を思い出させてくれる1冊です。
杉山さんがTwitter(現「X(エックス)」)で毎日発信したつぶやきから、こどもや図書館についてのことばを選んでまとめたものです。「本好きのこどもを増やすには?」「読書の効用ってなに?」など、1ページ1テーマ(1つぶやき)で、さくさく読めます。
こどもに本をただ手渡すだけでは、なかなか読んでもらえない。でも、「さまざまな言葉の詰まった楽しい物語を耳から渡すのが鍵」という言葉に、思わず膝を打ちました。私も物語や昔話を覚えて語るストーリーテリング(語り)をしていますが、最初は退屈そうに見えたこどもも、聞いているうちに引き込まれていくのがわかります。本を紹介するときも、よくよく準備して「この本の魅力はココだ!」と臨むと、大人でもこどもでもよく借りてくれます。今回予定している「ものがたりライブ(おはなし会)」も、物語を「音楽のように耳から届けよう」という考えから来ているのだそうです。
こどもに関わる大人にぜひ手に取ってもらいたい本です。
★杉山亮さんのものがたりライブ&講演会のお知らせ
11月9日(土曜日)
午前10時から11時 ものがたりライブ(おはなし会)
午後1時30分から午後3時 講演会「こどもと物語のいい関係」
詳しくは、こちらのページ(別ウインドウで開く)、または上郷図書館まで問い合わせてください。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。