ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

よむとす No.326 こどものころ図書館で

[2024年9月1日]

ID:1137

こどものころ図書館で

上郷図書館 木下 陽子

私の図書館デビューは小学校1年生の時です。初めて学校の図書館に入った時に見た本の多さに驚いたことを今でも覚えています。そして好きな本を借りて家で読むことができると知りとても嬉しかったです。

『小公女たちのしあわせレシピ』

こどものころ図書館で何度も借りた本の書名『小公女』がタイトルに入っていたので手に取りました。パラパラめくると、『小公女』だけでなく『不思議の国のアリス』『秘密の花園』といった懐かしい本が何冊も出てくる小説でした。それぞれがこの物語とどのようにつながっていくのか気になり読み始めました。
『小公女』は主人公の女性つぐみが実家の自分の本棚で見つけた古書です。つぐみはその本がそこにある心当たりがありません。調べていくうちにそれはメアリさんの遺品ということが分かりました。メアリさんはミニブタを拾って飼っている不思議な老女で、つぐみの実家が経営しているホテルに長い間滞在していました。キャリーバッグいっぱいの本を持ち歩いていたらしいです。なぜ「らしい」なのかというと、亡くなった時キャリーバッグの中は空だったからです。いったい本はどこへいったのでしょうか。謎です。謎はほかにもあります。『小公女』にはお菓子の作り方が書いてある紙がはさまっていたのです。おそらくメアリさんが書いたものです。なぜ物語の本にレシピが?つぐみはほかの本を探し始め、お菓子も作ってみることにしました。
懐かしい児童文学を遺品として持っていた人たちとつぐみの交流がとても優しい物語です。また各章で1冊ずつ出てくる本がその章に出てくる人たちに寄り添っています。どの本がどんな人たちのそばにあるのか楽しみにしながら読み進めてもらえると思います。なお各章の最後に対象の本にはさまっていたお菓子のレシピが掲載されているのでそちらもお楽しみに。

『こどもに聞かせる一日一話』

『こどもに聞かせる一日一話』(別ウインドウで開く)
福音館書店「母の友」編集部/編 福音館書店 2022年9月

こどものころ図書館で嬉しかったことがあります。自分が持っている絵本が図書館にもあったのです。『11ぴきのねこ』『三びきのやぎのがらがらどん』などなじみ深い本が並んでいるとそれだけで嬉しかったです。
紹介するこの本には30ほどの童話や昔話が掲載されています。雑誌「母の友」の企画「こどもに聞かせる一日一話」から選ばれた短くて楽しいお話です。『だるまちゃんとうらしまちゃん』『ぐるんぱのたんじょうび』といった顔見知りの登場人物が出てくるお話もあります。
その中のひとつ『ぐりとぐらのピクニック』を、図書館で行っているおはなし会で朗読しました。のねずみのぐりとぐらが大きなリュックサックを背負って、たんぽぽのはらにピクニックへいくお話です。読む前に「今日はぐりとぐらの絵本になっていないお話を読むよ。」と告げました。みんな顔をこちらへ向け、「ぐりとぐら?知ってる。」と嬉しそうに言ってくれ、この子たちにとってもおなじみなのだなと思うと嬉しくなりました。お話を一緒に楽しんだ時間に心が満たされました。
すべてのお話にふりがながふってあるのでこどもがひとりで読んでも楽しめる本ですが、ぜひお子さん、お孫さんに読んであげて、一緒に楽しむ時間をもってはいかがでしょう。
最近2巻が出版されました。あわせてどうぞ。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。