ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

よむとす No.320 ひとつの窓から

[2024年6月1日]

ID:1113

ひとつの窓から

鼎図書館 玉置郁子

窓。大きな窓に小さな窓。四角い窓に丸い窓。外気や陽の光を感じさせてくれる窓。そして、額縁の役割を果たして日本庭園などをより美しく見せてくれるような窓。ふと目を向けると、私たちの周りにはいろいろな窓があります。今回はそんな窓にまつわる本を紹介します。

『世界の家の窓から』

『世界の家の窓から』(別ウインドウで開く)
主婦の友社/編  主婦の友社 2022年11月

コロナ禍の初期、Facebook内に「VIEW FROM MY WINDOW(VFMW)」というグループが開設されました。これは、そこに投稿された「誰かの家の窓からの眺め」その風景とエピソードを集めた一冊です。私は、Facebookとは縁遠く、もちろん、この企画すら知らず、窓の外から家の中を眺める山羊がひょっこりと顔を出す姿の表紙に惹かれてこの本を手に取りました。 
ページを開くと、世界中のいろいろな場所で暮らす人々の、毎日見える窓からの景色が続いていきます。まるで、絵はがきや絵画のようなものもあれば、さりげない庭の花々であったり、日常的な洗濯物であったり、はたまた、間近にせまる隣の家の壁だったりもします。
また、動物の写真の中には、コロナ禍にロックダウンでフェンスの中に人間が閉じ込められ、それ以外のあらゆる動物たちがその周りをぶらついている、という逆転が生じているものがあります。それは、コロナ禍で、今までは当たり前だったものが、そうではなくなったことを強く感じさせます。
そして、窓から見られる動物たちの意外な姿や、かわいらしい姿に癒されたりもすれば、逆に難民キャンプの日常、ウクライナの飛散防止のテープが貼られた、その窓越しに見る風景には切ない気持ちになります。
一つ一つがシンプルな窓からの写真と説明ですが、いずれもそこにいる誰かにとって大切な「我が家」であることを強く感じます。
日常生活が戻りつつある今、手にとってもらいたい一冊です。

『山並み大図鑑』

『山並み大図鑑』(別ウインドウで開く)
佐々木 信一/写真 菊池 俊朗/文 信濃毎日新聞社出版部/編 
信濃毎日新聞社 2021年4月

鼎図書館が現在の鼎自治振興センター3階に移転して、4年目に入りました。 
今でも「以前の図書館は古いけれど味のある建物だったね」と懐かしんで声をかけて下さる方もいますし、現在の図書館の「この窓から見える山並みが良いんだよね」と言って、パノラマのように見える窓からの景色をしばらく眺めていかれる方もいます。実は、私もこの窓から見える景色が大好きで、季節の変化や夕日に染まる時間の変化を楽しんだりしています。
最近この辺りに引っ越してこられたばかりという方が、本を借りられる際に、この窓から見える山並みにとても感心され見ていらっしゃいました。私は毎日窓から見ているにもかかわらず、どれが何という山か、うまく説明ができませんでした。そんな時、手にしたのがこの、『山並み大図鑑』です。信州各地の山並みを絶景のビューポイントから見たパノラマ写真に、山名を併記した山座同定図鑑です。地図には撮影地点と撮影方向と画角が扇形で示されていて、とてもわかりやすくなっており、いつ頃の季節に撮影された写真なのかも記されています。
鼎図書館の窓から見える景色と、笠松山から撮影された本の中の景色が重なって、窓から見る山並みも、より楽しめるようになった気がします。「身近な山を知る」と題したコラムもあり、写真とともに、理解を深められる一冊です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。