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よむとす No.315 動物と考える地球温暖化

[2024年3月15日]

ID:1103

動物と考える地球温暖化

中央図書館 木下 和子

「地球温暖化」と聞くと、「地球」という規模が大きくてあまり実感が湧かないかもしれません。ですが、地球温暖化が進めば、私たち人間はもちろんのこと、地球上の生き物たちも当然影響を受けるようになります。気候変動によって環境が変われば、絶滅する動植物も出てくるかもしれません。遠くに思える地球温暖化について、動物の視点から見てみると意外と近くに感じられますよ。

『最近、地球が暑くてクマってます。』

『最近、地球が暑くてクマってます。』(別ウインドウで開く)
水野 敬也+長沼 直樹/著 江守 正多/監修 文響社 2021年9月

副題に「シロクマが教えてくれた温暖化時代を幸せに生き抜く方法」とあるように、地球温暖化について北極に住むシロクマの視点で書かれたこの本。ここ40年で約半分になってしまった北極の氷の日々溶けていく様子を目の当たりにしているシロクマにとって、地球温暖化は人間以上により深刻な問題です。
そのシロクマに最初から、「レジ袋を使わなくても、地球温暖化は1ミリも止まらない」と言われてしまうと、「えっ、私たちはどうしたらいいの?」となります。ですが、安心して読み進めてください。ちゃんと地球温暖化対策の「虎の巻」ならぬ「熊の巻」に、温暖化対策の具体的な行動が紹介されています。その中にある「使い捨てをやめ、モノを大切にする」の項目では、レジ袋有料化は使い捨て文化を見直すきっかけになり、マイバッグについては、周囲の人と地球温暖化について話すきっかけにするとより高い効果が望めるとあり、行動できそうな内容に「ちょっと話してみようかな」と思っているところです。
ちなみにこの本の著者は、
『人生はニャンとかなる!』(別ウインドウで開く)などを書かれた水野敬也さん、長沼直樹さん。ユーモアを交えながらシロクマ視点でわかりやすく説明されており、「環境問題のことを知りたいけど、環境の本って難しそう…」と思った方へおすすめの1冊です。


『ウシのげっぷを退治しろ』

『ウシのげっぷを退治しろ』(別ウインドウで開く)
大谷 智通/著 小林 泰男/監修 旬報社 2022年11月

シロクマの次はウシです。しかも「げっぷ」。「それを退治するってどういうこと?」と、はてなマークがたくさん出てくる題名の本に出会い、私はよくわからずに手に取ってみました。
温室効果ガスと聞くと二酸化炭素を思い浮かべる方も多いと思いますが、その二酸化炭素よりも強い温室効果を持っているのがメタンで、温暖化への影響は二酸化炭素の25~28倍にもなるとされているそうです。そのメタンを食べ物の消化の過程で発生させているのが、この本の主人公のウシ。ウシのげっぷには、温室効果ガスのメタンが含まれていたのです。
「えっ、ウシは生きているだけで地球温暖化を進めているの⁉」と、ウシを悪者にさせないために、ウシが吐き出すメタンを減らすためにはどうしたらいいのか、その研究経過について書かれたのがこの本でした。こう書くと、難しそうな内容に思えますが、手に取りたくなる表紙のとおり、地球温暖化、その対策としてのウシのげっぷを退治する方法についてわかりやすく書かれています。
そして、ウシのメタンを減らす効果がある物質の候補の中に、「南信州産の市田柿を干し柿にするときに残った『柿皮』」との一文が! 柿の皮に含まれるタンニンが、ウシのメタンを減らすことに効果があるのではと期待されているそうです。私たちの身近でも行われているウシのげっぷを退治する研究から、改めて地球温暖化対策について知ってみませんか。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。