ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

よむとす No.313 歳を重ねる

[2024年2月15日]

ID:1100

歳を重ねる

中央図書館 杉本 敏子

50歳を過ぎてから、歳を重ねるごとに老化を感じています。老眼、白髪といった肉体的なこともですが、集中力や記憶力などの能力にも老化を感じることが増えてきました。この先のことを考えながら手に取った本を紹介します。

『CARPE DIEM』

『CARPE DIEM』(別ウインドウで開く)
ヤマザキマリ/著 エクスナレッジ 2023年8月

書名のCARPE DIEM(カルペ・ディエム)は、生きていられる期間は限定的なので、今日を大切にして思い切り楽しみなさいという意味のラテン語だそうです。
この本は、著者が母の死を経て、老いや死をテーマに書いたエッセイです。
著者は、自分の人生を十分に謳歌して終えることのできた母の死からもたらされたのは、悲しみや喪失感よりも圧倒的にポジティブなエネルギーだったと書いています。期間限定の生という時間の中で、老いることを自然に受け入れて、人間の備えている身体的機能と精神的機能を十分に使い善く生きることが、人生を豊かにすると教えられました。
歳を重ねることは、マイナス面ばかりではありません。木の年輪が増えていくように、自分の中に経験や感動を増やしていきたいと思いました。

『80代で見つけた生きる幸せ』

著者G3sewingは、じーさんソーイングと読みます。80代の両親と娘さんがやっているソーイング(裁縫)チームで、主にお父さんがバックやポーチを作っているのでこの名前が付いたそうです。
始まりは、お父さんにミシンの修理を頼んだことです。それをきっかけにお父さんがミシンでの物作りにはまり、生きがいになりました。ただ、経済的に余裕がなく、材料費を捻出するために、孫のアイディアで始めたツイッターでの販売が“バズ”り、今に至っています。お父さんが82歳の時だというから驚きです。「何事も始めるのに遅すぎることはない」という言葉に勇気づけられます。G3sewingを始めたことで、仕事を得た両親の生活の好転と「これからは幸喜高齢者と呼んでほしい」の一言にほっこりしました。

『アニーとおばあちゃん』

『アニーとおばあちゃん』(別ウインドウで開く)
ミスカ・マイルズ/作 ピーター・パーノール/絵 北面ジョーンズ和子/訳 あすなろ書房 1993年12月

ナバホ・インディアンの少女アニーのおはなしです。
ある日、アニーは大好きなおばあちゃんから「今織っているじゅうたんができあがるころには、わたしは母なる大地に帰っていく」と告げられます。アニーはおばあちゃんの死を受け止められず、何とかしてその時が来るのを延ばそうとします。それに気づいたおばあちゃんに、時間は取り戻せないと諭され、それを受け入れていきます。生きているものはすべて、大地から生まれて、大地に帰っていくというインディアンの死生観を語る、ペン画が美しい絵本です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。