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よむとす No.312 やさしい平安文学

[2024年2月1日]

ID:1099

やさしい平安文学

中央図書館 小原 文香

今期の大河ドラマ「光る君へ」の主人公は紫式部がモデルですね。約390年続いた平安時代にはさまざまな文学作品が生まれ、愛され続けています。古典の勉強は苦手だったなあ…という方も、この機会に平安文学にふれてみませんか。

『紀貫之と古今和歌集』

『紀貫之と古今和歌集』(別ウインドウで開く)
川村 裕子/監修 ほるぷ出版 2023年2月

和歌の名人で『古今和歌集』の作者の一人である紀貫之とその作品について、豊富なイラストや写真とともに紹介した児童書です。
代表作である日本最古の日記文学『土佐日記』は、細やかな心の動きを表現するため、当時女性が使うものとされていた「かな」文字を使ったそうです。当時の男性の日記は漢文で書かれた記録的要素が強いもので、『土佐日記』でもその要素が表れている部分があると解説されています。実際の日記の画像が掲載されていて、男女の日記の違いが分かり面白いです。作品の描かれた時代背景やその時代の文化を知ると、作品がより魅力的に感じられる気がします。

『いとエモし。 超訳 日本の美しい文学』

幅広い古典文学作品から一部を抜粋し“超訳”した作品です。イラストレーターによる色鮮やかな挿絵も印象的で、「エモい」という言葉に耳なじみのある若い世代の方にも古典文学の魅力を感じてもらうことができる一冊です。
心がゆさぶられ何ともいえない気持ちになることを指す「エモい」と、古典の「をかし」を同義語としています。『義経記』の静御前にまつわるエピソードを「静御前ファンクラブ会報」、『宇治拾遺物語』の「小野篁、広才のこと」を「小野篁が天才すぎた件」とするなど、原作や他の訳書をご存じの方は衝撃を受けるかもしれません。
「エモい」とは一体…? という方も、その感覚を掴めるかもしれません。


『枕草子 上 桃尻語訳』

『枕草子 上 桃尻語訳』(別ウインドウで開く)
清少 納言/原著 橋本 治/著 河出書房新社 1987年9月

私が学生時代に古典の教科担任の先生に紹介してもらい、「古典文学って現代の作品と同じように面白いものなんだな」と思うきっかけになった本です。
“桃尻語”とは著者創作の若い女性風言葉のことで、「すっごい」「ダサイ」「○○だもん」など、学校の授業では扱わないような言葉で訳されています。有名な第一段の書き出しは「春って曙よ!」…。今から30年以上前に出版された本ですので、当時の若い女性をイメージしてお楽しみください。知識が深まる註や解説ももれなく桃尻語です。
橋本治さんの著書には『窯変源氏物語 1』(別ウインドウで開く)(全14巻 中央公論社)もあります。こちらは原作とは異なり、光源氏の視点で描くというアレンジを加えています。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。