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よむとす No.311 子育てには心のゆとりを

[2024年1月15日]

ID:1093

子育てには心のゆとりを

中央図書館 遠山 百合香

我が家では、子の成長とともに喧嘩もレベルアップしています。大きな声が出てしまう毎日です。子育てを一生懸命がんばりすぎて、疲れたり辛くなり子供にきつく当たってしまう方も多いのではないでしょうか。家庭が子供にとって安心して成長できる場所であるためにも、親の心のゆとりは大切です。たまには、「つかれたー」と息抜きしましょう。

『子どもの脳を傷つける親たち』

著者は小児精神科医で、子供の発達に関する臨床研究や脳研究に携わっています。皆さんは「マルトリートメント」と言う言葉を聞いたことがありますか。身体的虐待、性的虐待だけではなく、言葉による脅しや威嚇、罵倒、無視する、放っておくなどの行為、子供の前でする激しい夫婦げんかなど、大人の子供に対する「不適切な養育」を意味しています。子供が傷つく行為は、すべて「マルトリートメント」にあたります。
本書では、マルトリートメントが子供の脳にどんなダメージを及ぼすのか、子供の将来にどう影響を与えていくのかなど、不適切な養育が子供の脳に与える悪影響について書かれています。体罰、暴言、DV目撃や性的マルトリートメントなどの種類によって萎縮する脳の部位が違ってくるそうで、脳の画像も載っています。マルトリートメントは脳にとって大きなストレスになり、実際に脳を変形させていることを知り、とても怖く衝撃的でした。
子育て中はどうしてもいらいらして、つい大きな声を出してしまうこともあります。不適切な関わりをしたことのない親などいないのではないでしょうか。私自身、自分の子育てを振り返るとマルトリートメントにあたる行為があったと反省するばかりです。救いなのは、回復の可能性が指摘されていて、育て直しはこれからでもできるということです。自分の子への対応を改めて考えさせられた1冊でした。


『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』

著者のコウケンテツさんは、料理研究家でプライベートでは子育て真っ最中の3児の父です。家事や育児、仕事などで「料理がしんどい」と感じる人へのメッセージとして書かれた本です。
ご飯を作りたい気持ちにならないときのために、「駆け込み寺」を用意しておくことが大切だそうです。それは家族が喜んで食べてくれるものや料理しない罪悪感を帳消しにしてくれるアイテムです。我が家の場合は、お餅やカップ麺です。ありがたいアイテムです。
料理の「手間」を排除するために、洗い物を減らすための方法やレシピ、「包丁」「まな板」を使わない料理なども掲載されていて、忙しいときや疲れているときに試せば、気楽な気持ちでお料理ができそうです。この本で、料理に対しての心のゆとりができた気がします。

『そとごはん』

『そとごはん』(別ウインドウで開く)
ヘレン・オクセンバリー/作・絵 谷川 俊太郎/訳 岩崎書店 2014年2月

この絵本は、子供に読んであげた絵本ではなく私が楽しんだものです。「つかれたー、ごはんつくれないー」と言うお母さんの言葉から始まる絵本です。お母さんのぐったりした絵を見ると、子育て中ずっと家にいた頃の自分と重なります。「こんやはそとでたべよう」とお父さんの言葉で、外でご飯を食べることになりますが、小さな子供を連れた外食は本当に大変。お料理が来るまで行儀よく待てるはずがありません。
絵本では、最後は家に帰ってシリアルを食べていますが、やっぱりうちで食べるごはんが一番気楽なのかもしれません。結局こうなるんだなと共感できた絵本です。きっと、どの家庭も子育て中はこんな感じなのかもしれませんね。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。