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よむとす No.303 犬は家族

[2023年9月1日]

ID:1003

犬は家族

鼎図書館 平沢 百花

私は今、一匹の柴犬と暮らしています。名前は「さすけ」といいます。今年で11歳、人間でいうとおじいちゃんですが、毎日よく歩き、よく食べ、よく寝てのんびり暮らしています。何をしてもかわいい愛おしい大切な家族の一員です。今回は、そんな愛犬にまつわる本を紹介します。

『ぼくのいぬはどうしてこんなにかわいいのか』

『ぼくのいぬはどうしてこんなにかわいいのか』(別ウインドウで開く)
しゅん/作 えがしら みちこ/絵 KADOKAWA 2023年7月

この本は、15歳の愛犬と暮らす小学2年生の男の子しゅんくんの自由研究を書籍化したものです。その研究は、愛犬チャコのかわいさについて調べるものでした。しゅんくんは、毎日チャコを観察し、図書館で犬の本を調べたり、獣医さんに話をきいたりして、チャコの今まで知らなかったかわいさの秘密を知ります。またその中で、年をとってできないことが増えていくチャコの身体や心の変化にも気づいていきます。
こどもならではの素直な愛犬への気持ちが詰まったしゅんくんなりの「チャコがかわいい理由」が温かく、つい泣いてしまいそうになりました。ペットと暮らしたことがある人はもちろん、これから暮らしてみたいと思っている人にもおすすめです。
最後まで家族の一員としてペットを愛する幸せを教えてくれる一冊です。


『ソウルメイト』

『ソウルメイト』(別ウインドウで開く)
馳 星周/著 集英社 2013年6月
(書影画像は2015年 集英社文庫出版のもの)

この本は、犬と人間を巡る7つの短編集です。その中の物語で特に印象的だったのは、この本の表紙にもなっている、バーニーズ・マウンテン・ドッグの物語です。主人公、真一たちと暮らすバーニーズ・マウンテン・ドッグのカータは、ある日「組織性肉腫」だと宣告されます。この病気には有効な治療方法はなく、真一は妻の鈴子とカータの大好きな土地である軽井沢で療養生活を送ることに決めます。軽井沢の別荘に着くなり激しく尻尾を振り、生き生きと嬉しそうに庭を走り回るカータの姿に、真一たちも病のことなど忘れるぐらい豊かで幸せな日々を送ります。しかし、日に日に病気はカータの身体を蝕み、真一たち夫婦は、カータの最期に立ち会うことになります。
作者の馳星周さんは、長年バーニーズ・マウンテン・ドッグと暮らしていて、作中の軽井沢の別荘での犬の療養生活は、ほぼ作者本人の体験に基づいて書かれているそうです。それだけに作者の犬たちへの深い愛情が読んでいるだけで伝わってきます。
ペットを飼う上で「死」は必ず受け止めなければならない現実だとわかっていながらも、受け止めきれず泣き続け「寂しい」「悲しい」と漏らす主人公の姿に、私もその時が来たら受け止められるだろうか…いや、できないかもしれない…と、考えさせられました。
どの物語も、登場するすべての犬が愛おしく早く家に帰って愛犬を抱きしめたくなるそんな一冊です。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。