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よむとす No.297 牧野富太郎と田中芳男

[2023年6月1日]

ID:986

牧野富太郎と田中芳男

中央図書館 関口 真紀

NHKの連続テレビ小説「らんまん」を毎回見ています。
飯田出身の「博物館の父」と言われる田中芳男をモデルにした人物も登場したため、楽しみがより一層増します。ドラマを見ていて、「牧野富太郎や田中芳男は一体どんな人物だったの?」そう思ったらぜひ図書館へお出かけください。

『牧野富太郎自叙伝』

牧野富太郎自叙伝(別ウインドウで開く)
牧野 富太郎/著 講談社 2004年4月
牧野富太郎は、日本で植物分類学を独力で切り拓いた人です。幼少から植物に親しみ、95年の生涯の晩年までずっと現役で植物の研究をしていました。波瀾万丈の人生の中で、植物研究への思い、大学教授や研究仲間への思い、奥さんへの思い、などを知ることができます。例えば、「草木に愛を持つことによって人間愛を養うことができる」など、独特の哲学をもって植物研究されていたことがわかります。忖度なくはっきりと意見を言う性格だったことが想像できる文章もあります。田中芳男については、「田中芳男という人にはじめて会った」としか書いていなくて残念…。
また、牧野富太郎の娘さんが思い出を綴った文章も掲載されていて、牧野富太郎のユーモラスな一面や、すき焼きが大好物という親しみやすい一面も知ることができます。


『われらの牧野富太郎』

われらの牧野富太郎(別ウインドウで開く)
いとう せいこう/監修 毎日新聞出版/編集 毎日新聞出版 2023年3月
ドラマで田中芳男がモデルの人物役のいとうせいこうさんが監修をされた本です。いとうせいこうさんは、高知県立牧野植物園に行ってから、すっかり牧野富太郎に魅せられてしまったそうです。牧野植物園のスタッフ、牧野富太郎の伝記小説『ボタニカ』(別ウインドウで開く)(祥伝社 2022年)の作者の朝井まかてさん、ドラマの脚本を書いた長田育恵さんなどが登場して、牧野富太郎について楽しく知識を広げてくれる本です。
牧野富太郎はスーツ姿で植物採集をしていたのですが、それは、「愛する植物に失礼があってはならぬ」というポリシーがあったからなのだとこの本を読んで知りました。

『博覧男爵』

博覧男爵(別ウインドウで開く)
志川 節子/著 祥伝社 2021年5月

「牧野富太郎のことはなんとなくわかったけれど、田中芳男はどんな人なの?」そんな疑問をもった方、ぜひこの小説を読んでください。
幕末、飯田城下の一画にある田中家で幼い芳男がキノコを食べて食中毒になり、隣に住む市岡氏に助けを求めるといった場面から始まります。やがて名古屋の本草学者、伊藤圭介に弟子入り。パリの万国博覧会に行き、フランス随一の植物園ジャルダン・デ・プラントを見て、「いつか日本にもこのような知の蓄積を創りたい」と志を持ちます。日本を武力に頼らない真の文明国にするため、博物館や動物園を創った田中芳男の挑戦は、現代の東京国立博物館や国立科学博物館の礎を築いていきます。飯田市出身の田中芳男がめざしたものを飯田市に住む私たちは学びたいと思います。
中央図書館では、6月25日日曜日の午前10時から、「『博覧男爵』を読んで田中芳男を語ろう!」という読書会を開催します。『博覧男爵』を読んでからご参加いただき、田中芳男はどんな人物だったのか、気楽にみんなで語り合う会です。ご興味ある方は、ぜひご参加ください。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。