中央図書館 代田 智之
みなさんは2020年度から、小学校や中学校の教育課程の基準となる「学習指導要領」が改訂されるのはご存知でしょうか?
新聞やテレビなどの報道によって、小学校のうちからコンピュータのプログラミングを学ぶ、いわゆる「プログラミング教育」や「外国語教育の充実」などいくつかのキーワードを耳にされた方も多いと思います。これを聞いていると、「小学生の内から、たいそう難しいことを習うもんだ。」と感心する方や不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は子どもも大人も対象にした「学び」にスポットをあてて、本を紹介させていただこうと思います。
さまざまな「学び」に関する問いに対して、平易な言葉で回答するというスタイルで文章が構成されています。
「なぜ勉強しなくてはいけないの?」という問いに対する答えや冒頭で示した「プログラミング早期教育」、「英語教育」といった内容についても、その意義が述べられています。
子どもだけにとどまらず、これからの時代を生き抜くために必要な「学び」のヒントが得られるのではないでしょうか。
子どもたちの学びの場は主に「学校や塾」ということが想定されるでしょう。それならば大人にとって学びとなる場は…?
図書館や博物館は資料の展示や提供によって、公民館は学級や講座などによって多くの住民の方に学びの機会を提供しています。特に飯田市では「公民館活動が盛ん」と言われており、関わっている方も多いのではないでしょうか。
この本は副題に入っている通り、とある公民館の「公民館だより」に憲法九条のデモを題材にした俳句を掲載しようとしたところ、「世論を二分するようなテーマの俳句は掲載できない」と公民館側から断られたことを発端とした訴訟から、「大人の学習権」や「公民館のあり方」についてまとめられています。
他にも現代の課題を解決するための学びについても述べられていますので、これから公民館活動を始められる方にもおすすめの本です。
「知」(学び)とは何か?その本質について書かれた本で、これから学問を志す高校生から大学生世代にぜひ読んでもらいたい学びのための1冊です。
そしてこの本には、「読書」についても語られています。「なぜ読書は必要なのか」という見出しがあり、そこには「読書をすること、あるいは学問をすることの意味とはなんなのだろうか(中略)読書や学問をすることの<意味>は、端的に言って、自分がそれまで何も知らない存在であったことを初めて知る、そこに<意味>があるのだと思う。ある知識を得ることは、そんな知識も持っていなかった<私>を新たに発見することなのだ。」(p54~55より)と書かれています。
すなわち、自己の考えを絶対的価値観として縛っている「無知」から解放するものとして「読書」という営みをとらえ、自分を客観的にとらえるための視点の獲得として、読書の重要性を語っています。
「知」(学び)を深めるために、みなさんもぜひ図書館へお越しください。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。