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よむとす No.206  未来の地球を考えて

[2019年8月15日]

ID:691

未来の地球を考えて

上郷図書館 伊藤 理恵

 

毎日いろいろなニュースを目にしますが、近頃わが家の子どもが関心を示しているのは、少子高齢化や環境問題など将来の自分に直接かかわってきそうなことです。今回は頻繁にニュースにも取り上げられているプラスチック汚染についての本を紹介します。


『プラスチック汚染とは何か』

『プラスチック汚染とは何か』(別ウインドウで開く)

枝廣淳子/著 岩波書店 2019年6月


岩波ブックレットの中の一冊です。全87ページで、そもそも「プラスチックとはどんな物質なのか」から始まり、その有用性、現況、これからの世界の取り組みなどが簡潔に書かれています。

本の中で大きく取り上げられているのは、海洋プラスチック汚染についてです。以前から野生生物がレジ袋等のプラスチック製品を摂取してしまうなど、生物への影響が心配されてきましたが、新たにマイクロプラスチックによる汚染が問題になってきています。

マイクロプラスチック汚染とは、放置されたプラスチック製品が劣化し砕けたりしたものが風や雨により河川に運ばれ、最終的に海洋に流れ込んでしまったものです。衣類を洗濯する時に出る繊維くずや自動車の走行時のタイヤからの摩耗片などもマイクロプラスチックの発生源になっているといわれています。海洋生物がプラスチック片を餌と間違えて食べてしまうため、食物連鎖による人体への影響などが懸念されており、研究が進められています。マイクロプラスチックがどのように発生し、何が問題なのか、またどのような解決策があるのか読んでみてください。

プラスチックは現在汚染が問題視されていますが、一方で、軽量で耐久性にも優れているので、輸送や食品貯蔵など利便性が高く、環境負荷の低減にも役立ってきたという側面もあります。ただ、今はあまりにも便利になりすぎていると感じます。


『プラスチック・フリー生活』

『プラスチック・フリー生活』(別ウインドウで開く)

シャンタル・プラモンドン ジェイ・シンハ/著 服部雄一郎/訳

NHK出版 2019年5月


こちらは、もう一歩進んで、プラスチックゼロを目指す人たちに向けての本です。

プラスチックは本当に安全か、化学物質の影響は…。カナダ人夫婦が妊娠をきっかけにプラスチックを使わない生活を考えるようになりました。「プラスチック汚染は環境だけでなく健康にも関わる問題」としてとらえ、いかにしてプラスチックを使わないで生活していくか実践しています。

かなり徹底した生活なので、すべてやってみるのは難しいと思いますが、少しでも自分にできることがないか考えている方に参考にしていただければと思います。まずは自分の家の「プラスチック度」チェックをやってみてください。

今年6月に軽井沢でG20エネルギー環境関係閣僚会合がおこなわれました。海洋プラスチックごみの削減へ各国が協調して取り組みを始めます。誰もが取り組みやすいしくみをつくり、環境に優しい社会が早く実現されるといいなと思います。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。