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よむとす No.204 温故知新…⁉

[2019年7月15日]

ID:685

温故知新…⁉

中央図書館 矢澤 恵

 

「古きをたずねて、新しきを知る」というのは論語の言葉ですが、図書館は古今東西の“古き”の宝庫といえます。「昔」の様子や考え方を知ることのできる、楽しい本たちを紹介します。


『子どもたちは象をどう量ったのか?』

先日、図書館で古文書を紐解く講座を行いました。古文書なんて何だか難しそうだし、崩し字は何が書いてあるか読めないしと敬遠されがちですが、それはもったいないと思います。とっつきやすくて楽しいものもたくさんあります。

そんな古文書の入門におすすめなのがこの本です。江戸時代に寺小屋で使っていた教科書を今の国語・算数・社会・理科・総合にあてはめて、子ども達が何をどのように学んでいたか解説している本です。

最初は「いろは」や「一二三」を書くところから。算数はベストセラーになった『塵劫記』という本が広く使われ、数を数えたり測ったり。盗人算やねずみ算をどう教えていたかもわかります。理科は身近な自然から、天気や人体の仕組みなど。表題になっている象の重さの測り方は『改算記』という本で習います。皆さんだったら、象をどうやって量りますか。

どの項目も、当時のイラストや図が満載なので、楽しく眺めながら、江戸時代の風俗や物事の考え方を推しはかることができます。寺小屋の様子を描いた絵もあって、文机を丸く並べて仲良く字の練習をしている絵もあれば、あくびをしている子や、落書きをしていたり、ちょっかいを出している子もいて、今と変わらない学習風景ですね。



『戦国時代のハラノムシ ―『針聞書(はりききがき)』のゆかいな病魔たち―』

こちらの本は、永禄11年(1568年)に出された針治療の医学書『針聞書』から体内の「虫」を紹介した本です。昔の人は、体内に潜んでいる「虫」が病気を引き起こすと考えていました(今でも「虫の居所が悪い」「腹の虫が収まらない」なんて言葉が使われていますよね)。

『針聞書』には63種類の「虫」とその病状や治療法が紹介されています。治療法は「アカザを食べる」といった薬草が多いようですが、「虎のハラワタを食う」といった実際には無理だろうと思われるもの、「名医でも治せない」と言い切っているものなど。

そして、この「虫」がはっきり言ってキモカワイイ。奇妙としか言いようのない造形(でも、つぶらな目)と、鮮やかな色彩。ぜひ、この強烈なキャラクターの世界を楽しんでください。


『こまったときの神さま大図鑑』

普段、日常生活の中で宗教や神さまのことはあまり考えていなくても、困ったときはつい神だのみをしてしまいませんか? この本は、子どもたちが神だのみをしそうな願いごとに対して、世界中の神話や伝説の中から叶えてくれそうな神さまや妖怪などと、そのお願いの仕方が紹介されています。

例えば「苦手な算数の成績を上げたい」時は、メソポタミアの知恵の神エアに願ってみましょう。まず、焼き肉をひとかけら庭にお供えをし、家の屋根に登っておまじないを唱えます。エアは忘れっぽいので、毎日欠かさずおこなうこと。

「便秘で困っている」なら、トイレの神さま加牟波里入道(かんぱりにゅうどう)に頼んでみましょう。加牟波里入道は大みそかの夜にしか現れないので、大みそかの夜にトイレの窓を開けて「かんぱりにゅうどう、ほととぎす」と唱えます。

他にも、「忘れ物をしない」「弟や妹がいうことをきく」「字がきれいになる」などなど。中にはむちゃくちゃ大変なお願いの仕方もありますが、困ったときには手に取ってみてはどうでしょうか?


 

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。