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よむとす No.202 身軽に

[2019年6月15日]

ID:675

身軽に

上郷図書館 花岡 敦子

 

皆さん、片付けは得意ですか?そもそも、物を持っていなければ片付ける必要もないのかもしれません。いやいや、そうは言ってもなかなかそういうわけにもいきませんよね。

身も心も身軽になれたらいいなー。そんなあなたに。


 

『手ぶらで生きる。』

『手ぶらで生きる。』(別ウインドウで開く)

ミニマリスト しぶ/著 サンクチュアリ出版 2018年5月


「ミニマリスト」といって持ち物をできるだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人たちが増えています。

著者はなんと、布団を持たず床で寝ています!

さすがにそれはやりすぎだと思いつつも、とても気になり読み進めました。


  「 「なににお金を使い、なにに使わないか」を決めることは、「自分にとって、なにが幸せか」を知ることだ。」


と著者は言います。例えば、著者はテレビという「受け身」な娯楽で時間を潰すことを無駄と感じ、テレビを持たないかわりに読書など「自分主体」の活動にあてています。また、洗濯と干す時間をなくすために洗濯乾燥機を14万円で買い、「自由な時間」を手に入れたとも言っています。

読んでいくうちに、自分にとって本当は何が必要なのか思考が整理されていきます。すべてを真似する必要はないですが、物を手放すことを悩んでいる方にヒントが見つかればいいなと思います。


『家をせおって歩く かんぜん版』

よむとすNo.127で紹介した『家をせおって歩く』(別ウインドウで開く)の増補版です。著者はアーティストです。発泡スチロールで自作した家で生活し、いろんな町を旅しています。

それは、究極に身軽な生活ではないかと思います。

前作よりパワーアップしたところは、より快適に過ごすために新しい家を作ったこと。そして、スウェーデンと韓国に進出しています。

著者曰く、

 

 「住む場所は変えることができる。住み方だって作ることができる。すると、同じ町が全然違うものにみえてきて、

 私たちはそうやって世界を変えていくことができる。」


『「空気を」読んでも従わない』

私はこのタイトルに、ハッとして手に取りました。

空気を読み、場の雰囲気を壊さないことが良いとされ、違う意見を言えなかったりすることがありますよね。その窮屈さや違和感にどうやって対処すればいいのか著者なりの考え方を示しています。

著者は、この生き苦しさを理解するキーワードとして「世間」と「社会」を挙げています。

私たちは、「世間体が悪い」とか「世間に顔向けできない」「世間様になんと言われるか」など「世間」に関わる言葉を当たり前のように耳にしますよね。しかし、著者によると「世間」とはとても日本的なもので、欧米をはじめとしたほとんどの外国には、「社会」という概念はあっても、「世間」という概念はないそうです。 

「???」はじめは意味がわかりませんでした。「社会」と「世間」の違い?その疑問に応えるべく、「世間」とは一体何なのか、どうして日本には、「世間」が生まれたのか。日本と海外の文化の違いが具体例でわかりやすく解説されています。 

例えば、「世間」にはルールがあって、その一つに「年上がえらい」があります。英語でbrotherとsisterという単語を勉強した時に疑問に思ったことはないですか?姉なのか妹なのかわかりませんよね。でもわからなくてもアメリカ人は平気なのです。つまり、年上か年下かは問題にしないのです。

いろんな国へ行きいろんな文化を知ることにより、自分の生きている状況が唯一絶対ではないとわかるととても気持ちが楽になると著者は言います。

本書を読んで、「世間」の生き苦しさから少しでも自由になれればと思います。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。