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よむとす No.190 最後の…

[2018年12月15日]

ID:626

最後の…

中央図書館 田中 瑞絵

 

いよいよ平成最後の年が始まります。テレビの向こうに“平成”という文字を見たあの時から、気が付けば30年もの年月が過ぎたのだと思うと、早かったような、長かったような、寂しいような不思議な気持ちになります。この頃では、さまざまな物事に「平成最後の…」という言葉がつくようになりました。何かが始まり、何かが終わるのは世の常ですが、みなさんは最後の…という言葉に何を思いますか。


『写真に残された絶滅動物たち最後の記録』

『写真に残された絶滅動物たち最後の記録』(別ウインドウで開く)

エロル・フラー/著 鴨志田恵/訳 エクスナレッジ 2018年8月


今では、実際にその姿を見る事がかなわない絶滅動物たち。その写真記録と絶滅した経緯などをまとめた本です。古いものでは19世紀から、新しいものでは2000年代の写真まで、絶滅への道をたどった生き物達の貴重な姿を見る事ができます。動物たちが絶滅してしまった原因には、さまざまなものがあります。環境汚染、乱獲、生育環境の変化や自然災害など…。種によって原因はそれぞれですが、いくつかの要因が重なって絶滅してしまったと考えられています。原因がはっきり分からない生き物もいますし、人が絶滅しないようにと手を尽くしたにもかかわらず、絶滅してしまった生き物もいます。

写真は全てが鮮明に写されているものばかりではありません。どちらかといえば不鮮明なものの方が多いかもしれません。しかし、その不鮮明さが絶滅動物たちのたどった運命を伝えているようにも思えます。


『モリー先生との火曜日』

『モリー先生との火曜日』(別ウインドウで開く)

ミッチ・アルボム/著 別宮貞徳/訳 日本放送出版協会 1998年9月


スポーツコラムニストであるミッチ・アルボムは、ある日偶然、テレビで大学時代の恩師モリ―先生の姿を見かけます。そして、16年ぶりの再会。モリ―先生はALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に侵されていました。少しずつ動かなくなっていく体で、自らの死を見つめながら、モリ―先生は生涯最後の授業を行います。毎週火曜日、テーマは「人生の意味」。テキストはありません。モリ―先生の生き方、言葉こそがテキストなのです。

この本が出版されたのは20年程前になりますが、いつ読んでも、モリ―先生の温かな言葉が心に響き、「生きる」という事について深く考えさせられます。モリ―先生のように、愛する人、愛してくれる人に愛を伝え、与えるべき物を与えるべき人に与え、人生の最後を満足して終えられる人はこの世に何人もいないのかもしれません。しかし、最後の時をこんな風に過ごすことができたなら、それはこの上ない幸せなのだろうと思います。時々思い出しては読み返したくなる一冊です。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。