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よむとす No.185 知ることは面白い

[2018年10月1日]

ID:597

知ることは面白い

上郷図書館 伊藤 理恵

今年の夏はあまりの暑さのためか虫を見かけなかった気がします。殺虫剤の売れ行きが悪かったとも聞きました。虫が苦手なひとにとっては、唯一良かったことでしょう。虫にも活動に適した気温があるようで、暑さも和らいでくると虫の音も聞こえるようになりました。

実は私も虫はあまり得意なほうではありませんが、子どもたちの手前、平然を装って対応することにしています。そんな私でも大丈夫な虫の本がありました。


『虫のしわざ探偵団』

『虫のしわざ探偵団』(別ウインドウで開く)

 新開 孝/写真・文 少年写真新聞社 2018年5月


“しわざ”だなんて、なんてワクワクする響きでしょう。探偵団って何をするのでしょうか。

林や草原で「これは何?」と思うものに出会うことがありますが、実はこれが“虫のしわざ”であることが多くあるらしいのです。オトシブミなどはよく知られた“虫のしわざ”ですが、虫たちは他にもいろいろとやってくれているようです。

例えば一直線にミシン目みたいな穴が並んだ葉っぱ、見たことありませんか?どうやって一直線に穴をあけたのでしょう。あれは葉っぱがまだ若芽で、きつく巻かれているころに虫がかじり、その後、葉が成長して穴が並ぶのだそうです。

あと、すっけすけの葉っぱ、あれは枯れているんだと思っていたのですが、違うようです。虫たちはいったい何をしているのでしょう…

皆さんも虫のしわざ探偵団の団員になって謎を解明してみてください。“しわざ”ということで、虫自身には出会わなくても済む確率が高いのもうれしい点です。

同じ著者で『虫のしわざ観察ガイド』(別ウインドウで開く)(文一総合出版)という本も出版されています。より詳しく知りたい方はこちらもどうぞご覧ください。


『牧野富太郎 植物博士の人生図鑑』

『牧野富太郎 植物博士の人生図鑑』(別ウインドウで開く)

コロナ・ブックス編集部/編 平凡社 2017年11月


植物に興味のある方ならばご存知の方も多いはず、『牧野日本植物図鑑』(別ウインドウで開く)の牧野富太郎の自叙伝です。『牧野日本植物図鑑』といえば、私が図書館に勤務し始めたばかりの頃、植物に詳しい職員に「図書館司書なら『牧野日本植物図鑑』は知ってなきゃいけない」と教えられた本でした。この本の前を通ると、いまだにその頃がよみがえります。そんな訳で、ずっと気になっていた牧野という人物にこの本で出会うことができました。

ビジュアル的にも楽しい本で、まずは表紙、たくさんの植物に囲まれ静かにほほ笑む素敵な紳士、牧野に目を奪われてしまいました。ページをめくると更に素敵な写真がいっぱい。茶目っ気のある表情で、オニバスという植物を首に掛けている写真、草の上で昼寝の写真など、いかにも楽しげで、人柄を想像させます。評伝のほかに牧野の描いた草木のスケッチ、標本、手紙や日記などなど収録されており、一生を植物研究に捧げた牧野の人生を知ることができます。

牧野は土佐の出身で、幼い頃よりただただ草木が好きで、野山に入っては観察の毎日でした。寺子屋で学び、小学校にも二年ほど通いましたが、あまりの退屈のため退学し、独学で植物学を学びました。小学校生活でただ一つ楽しかったのは、飯田市出身の博物学者田中芳男の「博物掛図」を見ることだったそうです。のちに青年になった牧野は上京した際、田中芳男を訪ねています。

牧野は植物学の学者でしたが、一般の人々に向けて植物採集会も催していました。多くの人たちに知識を広め、植物に親しみ楽しむことを伝えています。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。