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よむとす No.288 きょうだい

[2023年1月15日]

ID:966

きょうだい

中央図書館 遠山 百合香

うちの息子たちは年齢も近く同性同士ということもあって、喧嘩が絶えない毎日です。先日、図書館で、絵本を薦めあう仲の良い姉妹を見て微笑ましい気持ちになりました。また、検温台に乗ってふらついた妹を助けるお兄ちゃんの姿を見て、「さすが兄!頼りになる」と感心しました。
時には喧嘩をしたり、仲が悪くなる時もありますが、きょうだいは一番身近で影響を与え合う素敵な存在だと思います。今回はきょうだいの本を紹介します。


『ふたごの兄弟の物語』

『ふたごの兄弟の物語』(別ウインドウで開く)
トンケ・ドラフト/作 岩波書店 2008年12月

私にとって不思議な存在である双子。自分にそっくりな人間がもう一人いるというのはどんな感じなのでしょうね。
この本は、そっくりなふたごの兄弟ラウレンゾーとジャコモが大活躍する物語です。ふたごの誕生から始まり、成長していく過程でさまざまな困難に出会います。二人が入れ替わって学校に行ったり、盗難事件に巻き込まれたり、謎の宿屋の正体を暴いたり。瓜二つの見た目を利用し、愉快な発想や知恵と賢さで困難を乗り越えていきます。ふたごでも性格は全く違うのに、お互いを尊重し信頼し合っているのがわかり、独房に入れられ切迫した状況の場面でも、どこか安心して読み進めることができました。
下巻ではふたごの兄弟は世界に飛び出し、難破事故に合います。なんとか生きのびると…今度は思いもかけない冒険が始まります。ふたごならではの事件解決がとてもおもしろいお話しです。

『兄弟姉妹の心理学』

『兄弟姉妹の心理学』(別ウインドウで開く)
根本 裕幸/作 WAVE出版 2022年10月
友達や職場関係、恋愛、近所付き合いなど人間関係に悩むことは誰でもあることだと思います。そうした問題の原因を「親」との関係に注目することが多いそうですが、それだけではなく「兄弟姉妹」の関係も大きく影響しているそうです。心理カウンセラーの著者が現場から学んだ事例を多く取り上げ、「兄弟姉妹の関係」について解説している本です。
読んでいると「そうそう」と思い当たることがあり、自分や息子たちと比べてしまいます。男女の組み合わせや年齢差等に加えて、親との距離などによりさまざまなパターンがあるので、自分のケースに当てはまらないことも多くありますが、身近な人のきょうだいを思い浮かべて読むのも楽しいですね。
兄弟姉妹の関係はビジネスシーンにも影響を与えているそうです。「お局様」と言われる人には「弟」をつけておくのがよいことや、強気の交渉は「姉」にまかせるのがよいことなど書かれています。又、母親のタイプで兄弟関係が変わるらしく、自分の長男・次男への接し方に気をつけなくてはと考えさせられました。子育て、職場、他にもいろいろな場面で、兄弟姉妹の関係が影響をしていることがわかります。参考にしてみてはいかがでしょうか。

『じゃんけんできめる』

『じゃんけんできめる』(別ウインドウで開く)
山添 聖子、山添 葵、山添 聡介/著 小学館 2022年9月
朝日新聞の短歌投稿欄「朝日歌壇」に掲載され話題となった母と小学生姉弟の短歌集です。姉弟が5、6歳くらいから詠み始めた何気ない日常の短歌が詠まれています。
「おとうとのかおよりおおきいブロッコリー あさのはたけのにおいがしたよ」(姉・葵6歳頃の歌)幼いころからこんな風に感じられ言葉にできることは、本当に素晴らしいことだと思います。「いつもよりやさしいこえにきこえたよおねえちゃんのきゅうしょくほうそう」(弟・聡介8歳の頃の歌) このように、学校での様子がわかる短歌もたくさん詠まれています。タイトルにあるじゃんけんの歌は同じ出来事を、弟と姉のそれぞれの側から詠んでいて、情景が浮かびます。
後半の母親の短歌は、題材のほとんどが日常の出来事で共感できるところがたくさんあります。子どものことでカリカリしている方、特におすすめです。山添姉弟の短歌に癒されますよ。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。