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よむとす No.281 目から鱗

[2022年10月1日]

ID:949

目から鱗

中央図書館 小森信祐

-目から鱗が落ちる- 語源は新約聖書の「使徒行伝」から出た言葉で、「何かがきっかけとなって、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになる」ことの例えとして用いられます。
皆さんもいろいろな場面でこういった経験をされているかと思いますが、今回は私自身が、読んで「目から鱗」を経験するきっかけとなった本をご紹介します。

『骨盤力 ~アスリートボディの取扱い説明書』

『骨盤力 ~アスリートボディの取扱い説明書』(別ウインドウで開く)
手塚 一志/著 ベースボール・マガジン社  2008年12月

著者はジャイロボール、うねり打法、クオ・メソッドなどといったスポーツ技法を提唱した手塚一志さんです。手塚さんは「パフォーマンスコーディネーター」としてプロ野球選手を始め数多くのスポーツ選手、さらには将来を期待される子どもや若い世代を指導してきました。著書も多く、CGなどを使った解説がとてもイメージしやすくて、当時社会人になって再び野球をやりはじめた私にとっては、どの本も夢中で読んで試したりした思い出があります。
多くの著書の中からこの本を紹介するのは、これまでの「投げる」「打つ」に加え、初めて「走る」についての解説がされている点です。小さい頃から鈍足で悩み続け、30歳を過ぎてもうあきらめかけていた私にとって、これは足が早くなる最後のチャンス!と必死の思いで手に取りました。
この本では、著者がこれまでの研究の末にたどり着いた究極の身体操作術が紹介されています。それは自分の身体を自在に操ることができるコントロールレバー「弓状線」が骨盤の中にあり、これを操作することによって本来の自分の力を発揮することができるというもの。「片腕型(ピッチング、バドミントン、パンチなど)」「両腕型(バッティング、ゴルフスイングなど)」「脚型(ランニング、スピードスケートなど)」の3つの型に分けてそれぞれの理論や技法を解説しています。
そういうわけで私はこの本では「脚型」を集中して読んで実践しました。結果、劇的に足が速くなった!というわけではないですが、それまで悩まされていた膝痛が気にならなくなり、何より全身を使って走れているのが感じられ、緩みかかっていた体型も維持でき、姿勢もよくなって背も僅かながら伸びてしまいました!
まあ言い返せば、それまでの私がいかにひどかったかを思い知らされたことでもあります。それまではとにかく鍛えればいいと思っていたのですが、いきなりずば抜けた力を出そうとやみくもに筋トレするのではなく、まずは今自分の持っている最大限の力を発揮できる身体の使い方を理解して実践することからすべてが始まるんだなと、この本を通じて学びました。

『眼力の鍛え方』

『眼力の鍛え方』(別ウインドウで開く)
石垣 尚男/著 新潮社 2009年2月

40代になり、一番衰えを感じたのは眼でした。視力はなんとか保てているものの、仕事ではパソコンや細かい資料とにらめっこですっかり眼精疲労状態。さらにはずっと続けてきた野球やソフトボールでも、速いボールについていけなくなってきていました。
これはどうしたものかと悩んでいた時に、ふとしたことで知ったのが「ビジョントレーニング」、眼を鍛えるという考え方です。私の中では初めて耳にするものでした。これを実践すれば、また以前のように眼が復活して仕事も野球もバリバリできるのでは!という思いから、こういった「眼を鍛える」という類いの本を探しては、必死で読んできました。
そうしていろいろ読んできた中から、この本を紹介します。著者は任天堂のゲームソフト「DS眼力(めぢから)トレーニング」の監修者です。この本では自身のスポーツビジョンに関する多くの研究と、一流アスリートやその関係者の言葉を紹介する中から、スポーツのセンスの正体は、動体視力、瞬間視、眼球運動、周辺視野などさまざまな眼の機能のことだと言います。そしてそれは鍛えれば向上させることができるとして、その眼力の鍛え方を解説しています。
本の最後に、具体的なトレーニングの方法が掲載されています。私が実践したのは一人でできる簡単なものばかりでしたが、それをやっただけでも視界が開けたというか、周りが明るくなった感じがしました。そして何となくですが、仕事では膨大な書類の中から重要ポイントを見出だすまでの時間が若干短くなり、野球でも相手投手や打者の一瞬の動きを感じられるようになった気がします。眼の調子がよくなるだけでなく、いろいろな物事に対する見方や捉え方が変わるきっかけにもなった本です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。