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よむとす No.263 読んだあと…

[2022年1月5日]

ID:892

読んだあと…

上郷図書館 宮内 萌

 

自分とは違う考えや、価値観に触れたとき、世界が広がった気がして嬉しくなります。これから紹介する本を読んだあと、新しい発見や言葉の持つイメージに少しでも変化があるといいなと思います。


『しれっと逃げ出すための本。』

『しれっと逃げ出すための本。』(別ウインドウで開く)

ヨシダ ナギ/著 PHP研究所 2021年9月

この本には自分がイヤだと思うことから逃げる方法が書かれています。“逃げる”と聞くと、ネガティブ、後ろ向きなど、あまり良い印象はないと思います。ですが、ここで教えてくれる逃げる方法は少し違います。

例えば、

「自分に向いていないことにこだわるのは時間の無駄」

「「絶対にイヤ」ではなく、「できなくないこと」に目を向けよう」

「“今”は必ずどこかに通じている」

前向きで、少し強気に感じませんか?

著者のヨシダナギさんは、現在フォトグラファーとして活動しています。アフリカなどの少数民族や、世界のドラァグクイーンを撮影しています。

ヨシダさんは、集団生活や就活など自分が不向きだと感じるすべてのことから逃げてきたといいます。ヨシダさんが幼いころから現在に至るまで、どのような壁にぶつかりそれをどのように逃げてきたのか。すべての方にあてはまるわけではありませんが、生き方や働き方が多様化してきている今、自分を守る、自分らしく生きるにはこんな方法もあるのだと知ることができます。


『SDGs時代の食べ方 世界が飢えるのはなぜ?』

タイトルだけ聞くと少し難しく感じます。内容も、食品ロスは日本や世界でどのくらいあって、食品のごみ処理にかかる税金はいくらで…、と言われると余計手に取りづらくなりますよね。

ですが、この本のシリーズ、ちくまQブックスは10代のノンフィクション読書を応援する目的で作られたので、わかりやすい言葉が使われています。また、本の構成が、食べ物や食品ロスに関する質問とその答えを選択肢の中から選ぶ、クイズ形式になっています。質問も、「ハンバーガー1個に使われている水の量は?」など身近なものも出てくるので、とても読みやすいです。いつの間にか、この1冊で食べ物や食品ロスに関する幅広い知識が身につくと思います。

食品ロスって聞いたことあるけど、何がどう問題なの?自分にはなにができるの?と、少しでも気になった方こそ読んでみてください。そして、思ったより難しくないかも…と感じていただけたらいいなと思います。


『妖怪がやってくる』

『妖怪がやってくる』(別ウインドウで開く)

佐々木 高弘/著 岩波書店 2021年7月

昔話やアニメでよく登場する妖怪。みなさんは何を思い浮かべますか? 河童、座敷わらし、鬼、怖い、妖しい…?

妖怪は、『続日本記(しょくにほんぎ)』(797年)という書物に初めて登場しました。そこには、奈良時代の宝亀(ほうき)8年(777年)に、宮中に何回も妖怪があったので対処をしたという内容のものが書かれていました。ここから、歴史や伝説、地図、さらに最近のアニメとも関連させて、妖怪がいつどこでどんな目的で現れるのかを読み解いていきます。

私が驚いたのは、妖怪はいきなり目の前に現れるのではなく、人が作った道を通ってやってくることです。妖怪は私たちの生活に密接に関わっているのだと思いました。

この本を読むと、みなさんが最初に思い浮かべた妖怪のイメージは徐々に変わっていくと思います。その変化を楽しみながら読んでみてください。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。