上郷図書館 遠山 佳代
藤井聡太さんの活躍もあり、将棋界が盛り上がっています。最近は、自分では将棋を指せないけれど、プロ棋士の対局を観ることが好きな「観る将」という人たちが増えてきたようです。私も1年ほど前から将棋中継を見るようになり、今では推しの棋士の応援をしながら楽しく中継を見ています。
今回は将棋を見るのがちょっと楽しくなる本を紹介します。
香川 愛生/監修 誠文堂新光社 2020年2月
最近の将棋中継では、棋士の解説だけでなく、AIによる評価値や勝率も表示されることが多くなり、初心者でも勝負の雰囲気をつかみやすくなっています。でも、「合駒」や「詰めろ」などの将棋用語がわかると、解説の棋士の言うことがわかるようになり、より対局を楽しめるようになります。
この本では、「味」「おもしろい」「からい」といった、一見将棋用語には見えない言葉も解説されていて、日常生活で使う言葉も「こんな意味で使っているんだ」という発見があります。
『教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」』(別ウインドウで開く)
梅原 猛・羽生 善治・尾本 恵市/著 講談社 2019年6月
文化としての「将棋」を書いた一冊です。哲学者の梅原猛さんと将棋界のレジェンドである羽生善治さんの対談では、伝説の棋士の話から、コンピュータが将棋界に与える影響まで幅広く話されています。また、将棋の「盤外の魅力」を考古学者、数学者、駒を作る駒師、教育者、観戦記者がそれぞれの立場から書いていて、将棋中継を見ているだけではわからない、将棋の奥深さに気づかせてくれます。
特に、教育者である安次嶺隆幸さんの将棋は「負けました」を言うゲームだという視点にはハッとさせられます。
高嶋 哲夫/著 幻冬舎 2016年12月
将棋を題材にした小説を一冊ご紹介します。
取海創(とりうみそう)と相場俊之(あいばとしゆき)、将棋をきっかけに仲を深めた天才少年二人ですが、プロ入りを決める重要な対局を最後に別々の道を歩むことになります。やがてトップ棋士となった取海が対局することになった将棋ソフトの開発者はかつてのライバルの相場でした…。
将棋に打ち込む天才少年の葛藤や、人間VS将棋ソフト、将棋ソフト開発の視点など、さまざまな角度から物語を楽しむことができます。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。