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よむとす No.252 名前の載らない仕事

[2021年7月15日]

ID:861

名前の載らない仕事

中央図書館 田中 瑞絵


世の中にはたくさんの仕事があります。よく知っている仕事も、全く知らない仕事も。きっと、知っている仕事よりも知らない仕事の方がとてもたくさんあるのだろうと思います。顔も名前も知らない、どんな事をしているのかも分からない誰かの仕事が、私たちの毎日を支えてくれている。そう思います。


『金メダルの工場(大接近!スポーツものづくり 6)』

『金メダルの工場(大接近!スポーツものづくり 6)』(別ウインドウで開く)

高山 リョウ/構成・文 添田 康平/写真 岩崎書店 2020年2月

オリンピックでアスリートに授与されるメダル。どのように作られているか知る人はそう多くはないのではないでしょうか。

東京オリンピック・パラリンピックのメダルは、携帯電話などの小型家電からリサイクルされた金属で作られています。集められた小型家電は、リサイクル工場で解体され、貴金属工場で金、銀、銅の金属の板となり、造幣局でオリンピックのメダルへと加工されます。その多くの工程が手作業で行われており、この本では、たくさんの人達の仕事の上に光り輝くメダルが作られていく様を見ることができます。

オリンピックの表彰台でアスリートの胸に光るメダルは、アスリートにとって最高の栄誉であると共に、作り手達にとっても技術と誇りの結晶なのだと思うと、また違った輝きを感じるのではないでしょうか。

『大接近!スポーツものづくりシリーズ』は他に『競技用車いすの工場』(別ウインドウで開く)『ランニングシューズの工場』(別ウインドウで開く)『卓球ボールの工場』(別ウインドウで開く)『柔道畳の工場』(別ウインドウで開く)『競泳用水着とゴーグルの工場』(別ウインドウで開く)があります。こちらもあわせてどうぞ。


『本のエンドロール』

『本のエンドロール』(別ウインドウで開く)

安藤祐介/著 講談社 2018年3月

エンドロールとは、映画の終わりに表示される出演者やスタッフの名前を列挙した一覧の事です。本では奥付と呼ばれる部分にあたりますが、ここに載るのは、著者、出版社、印刷会社や製本所の名前くらいです。

この物語の舞台は、ある印刷会社。印刷会社と一口に言っても実にさまざまな仕事があります。営業、印刷するための版を作る仕事、デザイナー、工場の作業員等々…。一冊の本ができあがって世に出るまでに、何人もの名前の載らない人達の仕事があるのです。その一つでも欠ければ本は人々の手に届きません。次々と降りかかるトラブルと戦いながら、懸命に本を作る人達。目の前の仕事を毎日、手違いなく終わらせるために。そして、本を愛し、本を待つ全ての人のために。

この本の最期、奥付の1つ手前のページ、映画のエンドロールさながらに並んだ、この本を実際に造った人達の名前に思わず胸が熱くなります。


『「言葉にできる」は武器になる。』

『「言葉にできる」は武器になる。』(別ウインドウで開く)

梅田 悟司/著 日本経済新聞出版社 2016年8月

 「世界は誰かの仕事でできている。」何年か前、テレビのCMで使われていた一文です。確かに、世界にはいろんな仕事があり、その一つ一つに自分が支えられている。誰かの仕事が無ければ、この世界は成り立たないのだなと気付かされた一文でもあります。この言葉を生み出したのが、この本の著者である梅田悟司さんです。

誰もが知っている数々のフレーズを生み出してきたコピーライターである著者が、いかにして自分の思いを「言葉」にして、多くの人の心に響く「言葉」を生み出しているのかについてわかりやすく実践的に書かれています。

自分の思いを文字や言葉にすると、思うように伝わらないという経験のある方は多いと思います。どうしたら人に伝わる「言葉」を生み出せるのか。自分の「言葉」を磨く術を教えてくれる本です。

『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート-「言葉にできる」は武器になる。実践編』(別ウインドウで開く)もあります。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。