上郷図書館 宮下 裕司
わが家に、黒い子猫がやってきたのは、2020年の7月終わりのことでした。高校生の娘が学校の近くで捨てられているのを見つけてきて、家族会議の結果、新しく家族に迎えることになりました。ナナオと名付けられたメスの子猫はすくすくと育ち、それ以来、すっかり猫中心の日々が続いています。
今回は、猫を飼いたい人や、飼いたくても飼えない人にも、おすすめの猫の本をご紹介します。
東京キャットガーディアン/監修 大泉書店 2018年6月
この本は、実際に私が猫を飼うことになった時、手に取った本です。タイトルのとおり、この本は、野良猫を拾ってしまった人や、野良猫を保護したい人に向けて書かれた本です。ケース別の捕獲方法から始まり、保護した猫別やることリストなど具体的なアドバイスが紹介されています。特に子猫の週齢・月齢に応じた成長とお世話のしかた早見表は、とても参考になりました。また、実用的であるだけではなく、かわいいイラストと写真で構成されていて、ブックデザインも素敵な1冊です。
佐竹 茉莉子/著 辰巳出版 2019年7月
この本では、さまざまな出会いで一緒に暮らすことになった猫と人の17の実話が掲載されています。犬の散歩をしていたら、近くの公園でカラスにつつかれていた生まれたばかりの子猫。東日本大震災の被災地で取り残されていた状況から保護された猫。中には拾った猫の育て方を相談していた人と結婚することになったというお話も。どのエピソードも幸せそうな猫と飼い主の姿が、素敵な写真と共に紹介されていて、猫が大切な家族の一員であることを教えてくれます。
武田 英子/文 清水 耕蔵/絵 講談社 2003年1月
最後は猫の絵本です。雪のふる冬の夕暮れに、みけの子猫が村はずれの家にやってきます。家のじいさとばあさは、みけをやさしく迎え入れてくれました。やがて、春が来て、じいさとばあさは、おかいこ様を飼い始めます。そのおかいこ様を食い荒らしにねずみどもがやってきました。みけは、ここが恩返しのしどころだとねずみに向かっていきますが、小さな子猫一匹では、まるで歯が立ちません。そこで、みけは山奥に住むというやまねこ様に、ねずみたちが恐れるにらみの術を教わりに行くことに…。
迫力のある絵で、みけの姿が成長するにしたがって、どんどんたくましくなっていきます。創作の昔話ですが、実際におかいこ様を守るために猫の絵馬を奉納したり、猫神様をまつったりした地域もあったそうです。おかいこ様のことが懐かしい年配の方にもおすすめの絵本です。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。