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よむとす No.248 ちょっと楽しい 不思議時間

[2021年5月15日]

ID:846

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ちょっと楽しい 不思議時間

上郷図書館 玉置 郁子

嬉しい時間。悲しい時間。私たちのまわりにはいろいろな時間がありますが、今回はちょっと楽しい時間の本を紹介したいと思います。


『ながーい5ふん みじかい5ふん』

『ながーい5ふん みじかい5ふん』 (別ウインドウで開く)

リズ・ガートン・スキャンロン、オードリー・ヴァ―ニック/文 オリヴィエ・タレック/絵 木坂 涼/訳 光村教育図書 2019年10月

時間の経過は、その状況や背景によって感じ方や考え方もかなり違ってくるものです。何かに夢中になっている時は1時間などあっという間に過ぎてしまうものですし、心配なことがあって眠れない時などは、時計を見るたびに「まだこんな時間!?」と朝までの時間がとても長く思えます。

この本は、こども目線で見るいろいろな身の回りのエピソードを通して、そんな時間の不思議とおもしろさに触れることができる絵本です。たくさんのエピソードを『5ふん』という単位で見ているのですが、どれも納得してしまうことばかりです。なかでも男の子がジェットコースターの待ち時間と乗り終わった時間の感じ方を“人生”と重ね合わせている場面は、その男の子の表情にクスッと笑いながら、思わず「あるある」と言ってしまいそうになります。家族でいろいろな『5ふん』を考えてみると、さらに楽しいかもしれませんね。


『あと10ぷんで ねるじかん』

『あと10ぷんで ねるじかん』(別ウインドウで開く)

ペギー・ラスマン/作・絵 ひがしはるみ/訳 徳間書店 1999年9月

「あと10ぷんでねるじかん!」とパパの声がして、男の子がベッドに入って寝るまでの10分間のカウントダウンが始まります。本当ならパパの声で寝るしたくをしなければいけないのに、ハムスターの大家族がやってきて大はしゃぎ。男の子は寝るしたくどころではありません。そんな中で、パパのカウントダウンはすすみ、あと5分に。それなのに、さらにハムスターたちがおおぜいやってきて、部屋の中はぎゅうぎゅうづめの大騒ぎに。それでもパパのカウントダウンは続きます。寝る前のたった10分間のことなのに、不思議と僕にとってのこの10分間は、とても楽しくゆったりと流れているように感じます。

実はこの本は、私の息子が子どもの頃に繰り返し読んでいたものなのですが、先日、息子との会話に出てきたので、久しぶりに手にとって読んでみました。そして、息子が「ねるじかんだってば!」と一緒に言っていたのを思い出しながら、どのページにも隠れている、細部にわたる遊び心やストーリーを新たに発見しながら、しばし時間を忘れて絵本を楽しみました。


『おとな時間の、つくりかた』

『おとな時間の、つくりかた』(別ウインドウで開く)

山本ふみこ/著 PHP研究所 2009年4月

この本は、大切な時間とのつきあい方や、日々の暮らしを楽しみ、丁寧に過ごす考え方が書かれたエッセイ集です。この中で著者は、好きな仕事のひとつに「袋貼り」があるといっています。それは子どもたちの1年分のカレンダーで封筒を作ることをいうのですが、その作業が好きという以上に、その、来る日も来る日も子どもたちのそばにあったカレンダーで袋貼りをしながら1年間過ごした『時間』について考えることが楽しい。なぜなら、子どもたちの予定や計画を見守り、時を吸い込んで重みも増したように感じられるカレンダーだからこそ、特別な感情もわく。こうして考えると、1年間があっという間なんてことはなく1日1日中身がぎっしり詰まったものと思えるからだそうです。

また、1日24時間を風呂敷に例えてもいます。あれもこれも包もうとするとその風呂敷は端から縮みあがってしまい、その結果、あせりから時間に挑んでしまうもの。しかし、時間を親しい友達のように想って礼儀正しくつきあうと、風呂敷はひとまわり大きくしてくれたり、柄を美しいものにして見せてくれたりする。それだけ、時間は不思議なものだと言っています。とても素敵な考え方だと思いました。

時短とか効率を重視しがちな忙しい毎日の中、1つ1つの過程を楽しむことの大切さに気づかせてくれ、日常の何気ない時間が価値あるものに思え、優しい気持ちになれる本です。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


よむとす No.248 ちょっと楽しい 不思議時間への別ルート