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よむとす No.243 ものづくり

[2021年3月1日]

ID:825

ものづくり

中央図書館 杉本 敏子

 

昨年、小惑星探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウの土壌を採取し地球に帰還する報道番組で、日本の町工場の部品がこのプロジェクトに使われていたことを知りました。町工場のものづくりに対するこだわりと熱意を感じました。そこで、ものづくりに関係する本を紹介します。


『NASAより宇宙に近い町工場』

『NASAより宇宙に近い町工場』(別ウインドウで開く) 

植松 努/著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009年11月


宇宙開発というとJAXAやNASAなど国家レベルで行っているイメージをもっていました。ところがこの本の著者は、北海道で社員20人の町工場から宇宙を目指しています。ロケットを飛ばし、世界に3ヶ所しかない無重力実験施設も作ってしまったというから驚きです。この本には著者がどうして宇宙開発をするようになったかを子どもの時からの体験を交えて書いています。

ところが著者は、宇宙開発は手段であり、目的は「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすことだと言っています。みんなが無理だと思っている宇宙開発を北海道の田舎の町工場がやっていたら、自分が無理だと思っている夢も「できるかもしれない」と思う人が増えるのではないか、「どうせ無理」とあきらめて楽をするより「だったらこうしてみたら」と考えてほしいと書いています。このあきらめない姿勢が著者のものづくりを支えていると思います。気楽に言っている「無理」という言葉について考えさせられる1冊です。


『鉄のしぶきがはねる』

『鉄のしぶきがはねる』 (別ウインドウで開く)

まはら 三桃/著 講談社 2011年2月


工業高校機械科1年唯一の女子である三郷心は、ひょんなことから「高校生ものづくりコンテスト」を目指すことになる。旋盤加工の技術を磨き、自分の気持ちと向き合い仲間と切磋琢磨する。その中で、ものづくりの大切さと楽しさに目覚めていく。

顧問の先生の「何かに一生懸命になっとる時それが本物かどうか、人は時々試されるんよ。本物になりたかったら、そこで踏ん張れ。」という言葉が印象に残ります。

鉄の塊に挑む、青春小説です。


『工芸の国、ニッポン。』

この本は新しくなった国立工芸館の紹介と、明治期の逸品から現代作家の作品までニッポンの工芸を存分に味わえる1冊です。

工芸品は美的価値を備えた実用品です。陶芸、木工、染織、金工など分野はさまざまです。国立工芸館は、昨年の秋に東京から金沢に移転オープンしました。建物は木造の旧陸軍の建物を移築、活用したもので国登録有形文化財だそうです。

表紙の写真は国立工芸館所蔵の「鶉四分一打出水滴」です。硯にさす水を入れておく容器で、1枚の金属の板を打ち出してふっくらした可愛らしい鶉(うずら)の形ができていることに驚きます。自由に旅行ができるようになったら実物を見に行きたいです。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。