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よむとす No.239 一緒に過ごす

[2021年1月1日]

ID:793

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一緒に過ごす

中央図書館 木下 陽子

 

 コロナ禍で人と会うことが制限されるようになって一年近く経ちます。会いたい人に会いたい場所で自由に会えない歯がゆさを感じることはありませんか?せめて本の中では心置きなく誰かと一緒に過ごしたいと思い、次の3冊を選んでみました。


『ムーミン全集[新版]8 ムーミン谷の十一月』

『ムーミン全集[新版]8 ムーミン谷の十一月』(別ウインドウで開く)

トーベ・ヤンソン/著 鈴木 徹郎/訳 講談社 2020年9月


まずは、昨年ムーミン75周年を記念して新版が出そろったムーミン全集より、ひょんなことから一緒に過ごすことになった人たちの物語です。

ムーミン谷の仲間のミムラねえさん、スナフキンほか総勢6名は同時期にムーミン屋敷を訪ねます。しかし、いつもならそこにいるムーミン一家がいません(どこに出かけていたのかは『ムーミン全集7』を参照)。みんな帰るのかと思いきや、一家を待つため全員屋敷に住み始めます。育ってきた環境や考え方、抱えている問題も違う人たちがそれぞれのペースで一緒に過ごそうとするとどんな日々になるのか想像できますか?ぜひ本を読んでご確認ください。

尚、物語の最後までムーミン一家は帰ってきません。ムーミンママに会いたくてやってきたホムサ・トフト以外は彼らを待つことをやめ、それぞれ旅立ちます。その時には、誰かが助言したわけでもないのに、個々の問題が解決していました。そして、静かにこの物語だけでなくムーミンの物語自体も幕を下ろしました。

余談ですが、子どもの頃、最後の場面の後にあるはずのホムサ・トフトとムーミンママの初対面の場面を自分なりに思い描き、ホムサに心を寄せていました。大人になって、この物語がムーミンママのモデルといわれている作者トーベ・ヤンソンの母親が亡くなった年に発表されたこと、トーベが母親の没後ムーミンの物語を書くことができなくなったことを知り、ホムサのムーミンママへの想いが報われるといいなと切に願うようになりました。


『わすれられないおくりもの』

『わすれられないおくりもの』(別ウインドウで開く)

スーザン・バーレイ/さく え 小川 仁央/やく 評論社 1986年10月


次は、亡き友を想い一緒に過ごす人々が悲しみを乗り越えていく様子を描く絵本です。

「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」-本文より-

そんな手紙をみんなに残して年老いたアナグマは亡くなりました。亡くなる前そうなってもあまり悲しまないようにとアナグマから言われていた彼らですが、それは無理な話。冬の間、それぞれの家で悲しみとともに過ごします。そして春になり外に出られるようになると、アナグマを想う彼らは互いに行き来し一緒に過ごすようになります。その時間の中でアナグマが残してくれたものに気がつくのです。

私は近しい人が亡くなった悲しみと折り合いがつかずにいます。この絵本は私の本棚にありますが、ここ数年開くことができませんでした。内容を知っているので読むのが苦しく、また怖かったからです。ただ今回「よむとす」を書くにあたり、これも人と一緒に過ごすからこそのお話だなあとふと読み始めました。相変わらず悲しい想いは襲ってきましたが、今は亡きその人と過ごした日々は実り多い豊かなものだったことを思い出せました。いつか共通の友人とその人を想う時間を一緒に過ごしたいと思います。


『へそ天にゃんこ』

『へそ天にゃんこ』(別ウインドウで開く)

すむぞう/編著 三笠書房 2020年2月


そして最後は、一緒に過ごす中で見せてくれる猫の姿の写真集です。

へそ天、それはおへそを天に向けて寝転んでいる姿。へそ天、それは安心しきってリラックスしている姿。へそ天、それは…とにかく見てください。すむぞうさんのSNS上での呼びかけで、全国より、愛猫と一緒に過ごしている飼い主さんだからこそ収めることができる姿のおすそ分けをいただきました。ページをめくるたびに思わず笑みがこぼれますよ。

 

 

以上、未曾有の出来事で今までとは異なる日常ですが、ご紹介した本で、誰かと一緒に過ごす時に感じる変わらぬ温もりをお届けできたら嬉しいです。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


よむとす No.239 一緒に過ごすへの別ルート