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よむとす No.237 飯田市立中央図書館 中二階

[2020年12月1日]

ID:787

飯田市立中央図書館 中二階

中央図書館 寺沢 しのぶ

 

図書館の仕事には、利用者の方から返却された本を本棚に戻す返本作業というものがあります。私は主に、中央図書館の中二階の返本をしています。中二階は法律・医学・教育・建築・歴史など実用書があります。あまり馴染みのない方もいらっしゃるのではないでしょうか。何を隠そう図書館で働くまでは、私もあまり足を踏み入れていませんでした。日々、返本していてそのことをひどく後悔しました。面白い本の宝庫だったのです!!そこで、思わず手にした本を紹介したいと思います。


『装丁道場 28人がデザインする「吾輩は猫である」』

『装丁道場 28人がデザインする「吾輩は猫である」』(別ウインドウで開く)

グラフィック社編集部/編 グラフィック社 2010年7月


根っから文系の私は読む本といえばほぼ文学に偏っています。本を選ぶ時私にとって、内容もさることながら、タイトルや表紙の画、帯など本全体の様子いわば、外側のデザインがとても重要です。一般に本をデザインすることを「装丁」と言い、装丁をする人を「装丁家」といいます。改めて、今まで手にした本を振り返ってみると、同じ装丁家が手掛けていたものが多いことがわかり、とても興味深く感じました。

装丁家はただ本をデザインするのではなく、作品の魅力を読者に伝える大切な役割があるように思います。この本は、そんな装丁家28人による夏目漱石『吾輩は猫である』の装丁を収めたものです。

表紙に猫の爪痕をデザインしたものや、しおり紐をふさふさした猫のしっぽにしたり、タイトルの文字を漱石の肉筆を使ったり。同じ作品がまるで別の本であるかのように個性豊かなデザインで装丁されており装丁家のすごさを垣間見ることができます。


『っぽくなるデザイン 誰でもできるかっこいいレイアウト集』

何をしてもセンスのいい人っていますよね。図書館で働いているとポスターやチラシを作る機会がありますが、この時センスのよさは如実に表れます。生まれ持ったものなのか、はたまた何らかの努力の賜物なのかはセンスのない私にはわかりませんが、ただただ羨ましく思います。

この本のタイトル「っぽさ」は、デザインをファッション誌っぽく、アパレルっぽく、ストリートっぽくなど、まさにセンスをよくするポイントが満載です。

「スモーキーカラーでお洒落に」、「文字オンリー」、「写真は余白を活かす」など私でも真似できそうなものばかりです。いつかこの本の知識を生かし、センスのいいチラシを作ってやる!とひとり思い巡らせています。

 

奇しくも、紹介した本二冊ともデザイン関係になってしまいましたが、『装丁道場』は「製本・装丁」の棚のところにあり、『っぽくなるデザイン』の本は「商業デザイン」の棚にあります。

最後にもう一冊、これは「無脊椎動物」の棚にあります。


『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』

『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』(別ウインドウで開く)

堀川 大樹/著 日経ナショナルジオグラフィック社 2017年2月


何年か前に「数十年乾燥して仮死状態でいた生物が、水を吸収して復活し繁殖にまで成功した」というニュースを耳にした記憶があります。当時私はあまり関心もなく、「へぇ生命力の強い生物もいるもんだ。」ぐらいにしか思いませんでした。その生物こそが、この本の主人公「クマムシ」だったのです。クマムシには1200以上の種があり、体長は大きい種でも1mmほどで、熱帯や南極、なんと都会の道路脇のコケの中にも生息しているそうです。見た目は、ずんぐりむっくりとしていて四対の足があり爪も備わっています。なかには、鎧のような形態の外皮のものや、体に突起があるものもいます。詳しくは、『クマムシ?! 小さな怪物』という本に顕微鏡写真がありますが、ほんとに怪物そのものです。

この本では、さまざまなクマムシが登場します。中でも、「クマムシ界の猛獣、オニクマムシ」はほかの種のクマムシを食べる肉食で、体を大きく左右に振りながらあるく姿が、まさに猛獣だそうです。また、冷凍耐性の調査では、熱帯に生息していながらマイナス196度まで冷却しても半数以上の個体が生存していたとあります。こんな物凄い生命力のクマムシですが、つるつるしたところは苦手で歩けません。一度転ぶと起き上がれずジタバタするそうです。なんだか可愛らしくないですか?気になる方は読んでみてください。

 

この他にもまだまだ、中二階には紹介したい面白い本がたくさんありますが、残念ながらまた次回にいたします。

是非とも、ご自身で中二階にお越しください。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。