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よむとす No.235 かお・かお・かお

[2020年11月1日]

ID:781

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かお・かお・かお

中央図書館 毛涯まるみ

 

もうすぐ2歳になる娘がいます。彼女は近頃、自分の顔のパーツを指差して言うようになりました。「めーめ!」「みーみ!」などです。微笑ましく見ているのですが、突然私の顔を指差しながら「めーめ!」と言って小さい指を目に突っ込んでくるので、笑ってばかりもいられません。

さて、今回はそんな「顔」に関係した本を紹介します。


『かお かお どんなかお』

『かお かお どんなかお』(別ウインドウで開く)

柳原良平/作・絵 こぐま社 1988年1月


こちらはまさしく「顔」をテーマにした絵本。最初は単なる「かお」。次に「め」「はな」「くち」と描かれ、それから「たのしいかお」「かなしいかお」など、一ページごとにいろいろな表情の「かお」が描かれています。

子どもに読み聞かせる時は、自分もその「かお」に合った表情になりますが、読み進めるうちに一瞬考えてしまう「かお」が出てきます。それが「たくましい かお」。楽しいや悲しいなどは容易ですが、たくましいとは…?と、いつもまじまじと絵を見てしまいます。そして毎回こんな「かお」かなとやってみるのですが、未だにしっくりくるものになりません。

皆さんも、ぜひ絵本を見ながら「たくましいかお」をしてみてください。


『WONDER ワンダー』

『WONDER ワンダー』(別ウインドウで開く)

R.J.パラシオ/作 中井 はるの/訳 ほるぷ出版 2015年7月


自分の顔は好きですか?

こう聞かれて「大好き!」と答える人はあまりいないのではないでしょうか。

主人公のオーガスト(オギー)は普通の十歳の男の子です。ただし彼の顔は、周りに普通だと思われません。例えば彼の目は「ほおのまんなか近く」にあり、「極端な角度のたれ目は、縦にまっすぐナイフで切られた切り傷のように見え」ます。「眉毛もまつ毛もな」く、「小さなげんこつを顔の横にくっつけたみたい」な耳です。

オギーは十歳で初めて学校に通うことになります。周囲の反応は予想通りでしたが、入学前に校内を案内してもらったジャックとは気が合います。また、入学初日のランチの時間、誰も同じテーブルに近づこうとしなかったのに、唯一同席してくれたサマーとも毎日ランチを一緒に取るようになります。

ハロウィンの日、仮装したことでオギーは周りに自分だと知られず「普通に」振舞われることを喜びます。しかし、学校に着きジャックといじわるなクラスメイトの会話を聞き、世界が変わるようなショックを受けます。そしてその場から立ち去りますが…。

オギーは自分の意志と関係なく目立ってしまいます。そのことで悲しい思いや辛い思いをします。けれどそれと同じくらい楽しいことやすばらしく嬉しいこともあります。重要なのは、自分が自分で居続けることなのではないかと思わせるお話です。


『大塚康生画集 「ルパン三世」と車と機関車と』

古今東西「いくつもの顔を持つ男」といわれる人は何人もいるのではないかと思いますが、私がすぐに思い浮かぶのは、「ルパン三世」です。子どもの頃からアニメを見ていた大好きな作品です。その作品を生み出したのがアニメーター・大塚康生氏。その人の画集ならぜひ読まなくてはと本を開いたところ、ほとんどが車と蒸気機関車でした。想像と違っていましたが、「ルパン三世」のルーツを辿るには重要なことでした。

当時一緒に「ルパン三世」を制作していた演出家・映画監督のおおすみ正秋氏の寄稿には「今までにない大人志向のアニメとして企画した」とあります。そのためルパン三世の愛車はベンツSSK(途中からフィアット500)、拳銃はワルサーP38などと決まっています。なぜ途中から愛車が変わったかというと、フィアット500は当時大塚氏の愛車ですぐに見ることが出来たからです。機構を描くには実物を見ることが一番だそうですが、ベンツSSKを1日に何枚も書けるアニメーターはめったにおらず、フィアットなら駐車場に置いてあるのをちょっと見に行けばいいということで決まったとか。

ルパンが逃走する場面などに登場する車は、どれも無機質ではなく人の動きに連動した動きをしていると思っていました。フィアット以外も実際に見たのかと思ったら、大塚氏は戦後アメリカの軍用車両をずっとスケッチしていて、その機能美に衝撃を受けたそうです。また、そもそも軍用車両に惹かれたのも、少年時代に蒸気機関車が大好きで毎日離れた場所まで見に行ってスケッチしていたという下地があってのことでした。これがあったからこそあのルパン三世のわくわくする逃走劇があったのだなと思います。

大塚氏は多くの有名なアニメ作品に携わってきましたが、別名義でドラマを作ったりミニ四駆の監修をしたりと、それ以外の活動もしています。大塚氏のいろいろな「顔」も見られる一冊です。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


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