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よむとす No.229 紙が好き

[2020年8月1日]

ID:767

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紙が好き

中央図書館 田中 瑞絵

 

紙が好きです。特にこれといった理由もなく、熱く語れるほど知識もありません。ただ、なんとなく好きなのです。紙を見れば触ってみたくなりますし、使うあてもないのに買ってしまったり、きれいな包装紙や紙袋もなんとなく捨てられません。

一口に紙といっても、その種類も用途も実にさまざまです。紙は一体、いくつの顔をもつのでしょう。そんな事を考えると、私の中の“好き”が少し増すような気がします。


『紙鑑定士の事件ファイル』

『紙鑑定士の事件ファイル』(別ウインドウで開く)

 歌田 年/著  宝島社  2020年1月


どんな紙でも見分けられるという紙鑑定士の元に、「紙鑑定」と「神探偵」を勘違いした女性から調査の依頼が舞い込みます。手掛かりはプラモデルの写真1枚だけ。なりゆきで依頼を引き受けた事をきっかけに、伝説のプラモデル造形家と出会い、意外な真相にたどりつきます。すると、第2の依頼が舞い込み、その裏にある大きな事件の真相へと迫っていくミステリーです。

紙鑑定士と造形家、2人のマニアックな知識が事件を解決へと導いていきます。1枚の紙から、1つの模型のパーツから、驚くほど情報があふれ出て、紙の世界も模型の世界も想像以上に広く深い…と感じます。

一冊の本の中に、いろいろな種類の紙が使用されており、それぞれの紙の風合いを感じる事ができる製本になっているところも楽しめる一冊です。

2020年第18回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作です。


『ばあちゃんぼくが継ぐ 飛驒河合山中和紙』

『ばあちゃんぼくが継ぐ 飛驒河合山中和紙』(別ウインドウで開く)

加藤 麻美/撮影 近藤 誠宏/監修  岐阜新聞社  2019年6月


岐阜県飛騨市川内町で、およそ800年前から変わらぬ製法で作られている山中(さんちゅう)和紙。その伝統を継承する手漉き職人の柏木一枝さんとその家族の姿を追った写真集です。飛騨の中でも最も山奥で生産されていたことから山中和紙との名がついたといわれ、和紙の原料である楮(こうぞ)を雪の上にさらして白くするという、雪深い土地ならではの工法があるそうです。

私の住む地域にも、紙漉きの伝統が残されていて、子どもたちは小学校の卒業証書の紙を自分で漉いて作ります。山中和紙のように白く美しくとはいきませんが、小学校時代の思い出も一緒に漉き込んだ様な、想いのこもった美しい紙だと思います。

山中和紙は原料の栽培、採取から漉き工程まで全てが手作業のため、決して楽とは言えない仕事ですが、生き生きと紙漉きをするおばあちゃんの姿と、その姿を見て、自ら後継者の道を選んだ孫。年月を経て、少し小さくなるおばあちゃんの背中と、大きくたくましくなっていく孫の背中。その背中に自身の子どもの姿も重なり、胸が熱くなります。この伝統がずっとずっと継承されてゆく事を願います。


『お菓子の包み紙』

『お菓子の包み紙』(別ウインドウで開く)

甲斐 みのり/著  グラフィック社  2017年6月


素敵なものは素敵な紙に包まれている…。いつの頃からか、そんな風に思っている自分がいます。

お菓子の包み紙とは、なぜこんなに魅力的なのでしょうか。その中身を味わう前に、包み紙を見るだけで「美味しい」と感じてしまいます。もちろんそれはその物の美味しさなのですが、その美味しさの中に包み紙の力も含まれている気がします。

この本の中には、著者が全国のお店を訪ね、味わい、思い出とともに大切にしまっておいた20年分のコレクションの中から選ばれた、200店舗超の包み紙のコレクションが収録されています。洋菓子、店別、和菓子、作家別、手提げ袋・紙袋、などのテーマ別にたくさんの包み紙が紹介されています。知っているもの、知らないもの、実は有名な作家さんのデザインのもの、いろいろありますが、やはりどれも美味しそうです。

紙の本なのに、包み紙の本なのに、なんだか甘い香りがしてきそうです。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


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