中央図書館 代田 智之
私は小説の中でもいわゆる「歴史モノ」が好きです。なぜ好きなのということはあまり考えたことはないのですが、中学生くらいの頃からもっぱら歴史小説を図書館で借りて読んでいた記憶があります。今思い返せば、武士のかっこよさや強さに魅かれていたのではないかな?と思います。
そんな歴史小説好きな私のおすすめ本の中でも、今回は中央図書館の書庫にあるものからいくつか紹介させていただきます。
源頼朝が征夷大将軍となり、鎌倉幕府を開いた「その後」を描いた作品です。
武家の都となった鎌倉を舞台にして、2代将軍源頼家、北条家の執事平頼綱、執権北条高時という3人の権力者にスポットをあてた3篇となっており、将軍から北条氏への権力の移行、執権体制からの脱却、鎌倉時代の終焉とこの時代を語る上で欠かせない節目ともいえる権力闘争が繰り広げられます。
歴史小説の中で鎌倉時代を扱ったものは数が少ないと感じていますが、高校の日本史に名前が出てくる「霜月騒動」、「平禅門の乱」なども扱われ、年表の中だけではなく登場人物たちの感情を追うことでより日本史の動きが楽しくわかると思います。「鎌倉時代」に興味がある方におすすめの一冊です。
こちらは信州高遠城主でもあった、保科正之の生涯をつづった一冊です。
3代将軍徳川家光の異母弟という立場ながらそれに驕ることなく生き、その姿が将軍家光の目に留まることで幕閣として重要な地位を築いていきます。
時代はまさに戦国の動乱を抜け、「武断」の時代から「文治」の時代への変革の中で、自らの境遇を糧に民衆のために尽くす姿が描かれています。
現代でも稀代の為政者として評価されることが多いですが、保科正之を詳しく知らないという方は、最初の1冊にいかがでしょうか。
この本は、中央図書館で行っていた「名著を読む」という展示の中で見つけ、タイトルに魅かれて、ついつい手を出して借りてしましました。
登場する剣豪たちは時代もさまざま。秘剣”一の太刀”で知られる塚原卜伝から始まり、明治期に至るまでの剣客16名を歴史小説界の大家たちが描き出す短篇集となっています。それぞれの剣客たちの兵法の妙はもちろん、描かれる殺陣の場面にも引き込まれてしまう1冊です。
なお、この「時代小説の楽しみ」シリーズは全12巻となっています。 「闇に生きる」(別ウインドウで開く) や 「剣に生き、剣に死す」(別ウインドウで開く) など他にも心惹かれるタイトルがそろっておりますので、気になるタイトルをぜひ借りてみてください。
(図書館所蔵の本はすでにカバーがないので、この本の表紙の紹介はありません。)
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。