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よむとす No.201 「吃音」を知る

[2019年6月1日]

ID:673

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「吃音」を知る

中央図書館 中平 憲一

 

最近、「吃音」を扱った書籍が続けて数冊、新刊の棚に並びました。「吃音」とは、突然、特定の言葉が発しにくくなる症状で、最初のひとことが円滑に出なかったり、ある言葉を繰り返したり伸ばしたり、無音が続く症状とされています。

調べてみると、「吃音」を扱う本は、2000年以前は治療法や矯正法について書かれた本が主ですが、以降はこれに加え、吃音の正しい理解と啓発について書かれた本が出版されています。ちなみに、当館所有の新聞データベースで「吃音」と検索すると、特に2010年以降に吃音理解の学習会や講演会、課題に向き合う言語聴覚士の関わりなどの記事が増えています。

吃音は個々の治療など医学の問題から、社会でサポートする課題に移行しつつあるようです。


『吃音 伝えられないもどかしさ』

ここに紹介される何人もの吃音者の体験談、直面する困難と苦悩を読んで、これほどまでに生きづらさを感じているとは知りませんでした。彼らは吃音を治そうと努力し、矯正や治療に取り組みます。それでも切符を買う、授業や職場で発言をする、電話に出るなど、言葉を使うあらゆる場面で困難に直面し、周囲の理解が得られない場合には経済的にも精神的にも追い詰められてしまいます。

吃音は、現在のところ原因も治療法もはっきりしていないといいます。また、その症状もさまざまではっきりしないがために、いまひとつ理解が行き届かないのかもしれません。

自身が吃音者でもある著者は、吃音者が言葉を発するのを「カギがかかったドアを必死で開けようとする感覚に近い」と表現しています。伝えたくても伝えられない「もどかしさ」、その感覚を想像しながら読まなければ理解が深まらないのだと感じます。


『吃音の世界』 

『吃音の世界』 (別ウインドウで開く)

菊地良和/著 光文社 2019年1月


著者は、吃音の悩みから解放されたい思いから医師になり、現在では「吃音ドクター」として著書も多いのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

この本は、著者自身が吃音で悩まされた体験や、吃音治療と研究の歴史について、吃音者と医師の双方の立場で書かれています。吃音の誤った認識で悩み苦しむ吃音外来の患者やその家族に対して、正しい理解と支援に導く姿が描かれます。

こうした困難や不安を抱えていない私自身が「自分の直面する問題そのもの」として読むのは難しいことですが、本書は新書で読みやすく、幅広い観点で吃音をとりまく状況を知ることができます。

「吃音だからいろいろなことを諦める」生きづらさを、吃音とともに豊かに生きる方向に変えたいという著者の思いが伝わります。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


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