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よむとす No.164 柿の季節に

[2017年11月15日]

ID:456

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柿の季節に

鼎図書館 宮下 裕司

 冷え込みが強くなり、朝霧につつまれた外の景色をみていると、南信州の晩秋を彩る「市田柿」の季節が来たことを感じます。
今回は、当地方を代表する特産物のひとつ、柿にまつわる本をご紹介します。


『二ほんのかきのき 熊谷元一百歳記念刊行』

『二ほんのかきのき 熊谷元一百歳記念刊行』(別ウインドウで開く)

熊谷元一/作・絵  熊谷元一写真童画館  2009年7月

阿智村出身の童画家で写真家でもあった熊谷元一さんの絵本です。熊谷さんの絵本の中でも代表作といえるこの作品は、元は福音館書店から1968年に月刊絵本として出版されたものでした。その後こどものとも傑作集(別ウインドウで開く)として、110万部を超えるロングセラーとなりましたが、10年ほど前から品切れ絶版の状態でした。この版は、2009年に熊谷さんが100歳を迎えられたのを記念して、私家版として出版されたものになります。
昭和30年代頃の干し柿づくりの様子が、柿の木とその家の子どもたちの一年間の暮らしとともに紹介されています。今では、見ることが少なくなってしまった年初めの「なりきぜめ」や、山のように積まれた柿を近所の人たちにも手伝ってもらって一つ一つ手でむいているところなど、年配の方には懐かしく思い出される場面が、熊谷さん独特のあたたかい画風で描かれています。


『柿の木』

『柿の木』(別ウインドウで開く)

宮崎学/著  偕成社  2006年10月

伊那谷在住の写真家、宮崎学さんの本で、その名も『柿の木』です。
この柿の木は、上伊那郡中川村に立っているもので、伊那谷を見下ろす丘に一本だけ枝を広げてたたずんでいる姿に目をとめた宮崎さんが、固定カメラで2年間撮り続けた写真を収めています。
雪の舞う冬の夜に立つ姿。春を迎えて根元に黄色いスイセンの花が咲いたところ。夏になり濃い緑の葉が木陰を作る様子。そして秋になり、たくさんの実を枝いっぱいに結びます。
そんな柿の木の根元をキツネやタヌキが通り過ぎていくところも写っています。移り変わる季節の中で立ち続ける姿は、一本の木というよりも、一人の老人のような風格を感じさせてくれます。


『柿の文化誌 ―柿物語― 第二版』

『柿の文化誌 ―柿物語― 第二版』(別ウインドウで開く)

岡田勉/著  南信州新聞社出版局  2015年9月

飯田市上郷出身で、県の農業改良普及員として長年お勤めをされた岡田勉さんによる柿の専門書です。第一版(別ウインドウで開く)は2004年に出版されましたが、すぐに在庫が無くなり、再版の要望が多かったため、統計や農薬の情報を更新したこの第二版が刊行されました。
日本だけではなく世界各地の柿の品種の紹介から始まり、柿の実のさまざまな食べ方や「市田柿」「立石柿」の歴史についても語られています。また、この本では、柿の実だけではなく、塗料や染料として利用された柿渋や木材としての柿についても、それぞれ章をたてて詳しく解説されています。どの記述についても、その由来を古典や古文書にたずねておられ、この地方の郷土資料という枠にとどまらず、柿の総合文化誌といえる充実した内容です。柿にまつわる風習「成木責め」や「木守り」についても最後にふれられており、飯田下伊那地方にとって、末永く貴重な一冊です。


よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。


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