飯田のシンボル風越山(かざこしやま)。標高1,535m、四季折々に親しまれ、山頂の白山社奥宮(国重要文化財)や石造物など信仰の山としての文化財も豊富な山です。みなさん、登ったことはありますか。小学校のころに遠足で登ったという思い出のある方も多いのではないでしょうか。
私はちょうど出勤時に見えるので、毎朝、風越山を眺めています。季節や天気によっていろいろな表情を見せる風越山。そんな風越山への思いを深めてくれる本を紹介します。
『風越山からの風 風越山を愛する会25周年記念誌』(別ウインドウで開く)
風越山を愛する会/編・発行 2013年3月
風越山の自然の保存や登山道の整備、文化の継承に大きく活躍されているのが「風越山を愛する会」の皆さんです。この本は「風越山を愛する会」発足25周年を記念して出版されたもので、四季折々の自然や風越山の文化財の写真、会の歩みなどが収録されています。
中でも読んでいて楽しいのが「風のたより」です。「風のたより」とは発足当時より続けられている会員に向けてのハガキ通信ですが、写真が1点と短いコラムやお知らせが書かれています。後鳥羽院が風越山について詠んだ短歌を紹介していたり、江戸時代の山争いにまつわる境界を示す石碑を紹介していたり。自然や文化、歴史まで、風越山のあれこれがいっぱい詰まった文章です。
「風越山を愛する会」についてはホームページで最新の情報を見ることができます。あわせてそちらもどうぞ。
「風越山を愛する会」ホームページ http://www.mis.janis.or.jp/~hilasawa/(別ウインドウで開く)
『白山社奥社保存修理工事報告書 平成16・17年度』(別ウインドウで開く)
白山社奥社保存修理委員会・飯田市教育委員会/編集・発行 2007年3月
図書館には普段なかなか目にすることのない郷土の資料があります。この本もそんな1冊。平成16,17年度に行われた風越山山頂にある白山社奥社の修理工事の報告書です。
奥社が建てられたのは室町時代の永正6年(1509年)。500年もの間、風雪に耐えてきた建物ですが、傷みが目立つようになり行われたのが「平成の大修理」です。この本は工事報告書ではありますが、傷みの様子から解体、修理の過程がふんだんな写真や図面とともに紹介されており、建築の面からも、文化財への興味からも面白い本になっています。また、標高1,500m付近での修理の苦労もしのばれます。
中でも、多くのページを割いて紹介しているのが、本殿内部の漆の扉絵です。青龍や朱雀などの神獣が描かれた漆絵は東京国立博物館にて修理・復元され、丁寧に修復されている過程が紹介されています。
尚、図書館には、昭和14~15年に行われた修理工事の報告書『国宝白山社奥社本殿修理工事報告書(別ウインドウで開く)』もあり、併せてごらんいただくことができます。こちらにも写真が多く掲載されており、比べてみるのもおもしろいです。
本多勝一/著 実業之日本社 1988年1月
下伊那出身のルポライター本多勝一氏の山歩きエッセイ第3弾。本多氏が歩いた山々についての文章とスケッチ画がおさめられています。普段、硬派な文章を書かれる本多氏ですが、この本では、肩の力の抜けた読みやすいエッセイに、ご自身による素朴なスケッチの絵がついています。
この本の冒頭に登場するのが、風越山です。30数年ぶりに登る風越山を、高校時代の思い出とあわせて書いています。故郷を離れても懐かしく思い出される山でもあります。
全集版の『本多勝一集 27』(朝日新聞社 1995年)(別ウインドウで開く)もあります。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。