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よむとす No.106 大人も絵本を楽しもう 2015年06月01日

[2017年6月8日]

ID:183

大人も絵本を楽しもう

鼎図書館 玉置 郁子

子どもの頃に手にした絵本を、大人になって手に取ってみると、昔と違った感動を得る時があります。そして大人だから味わえる絵本もたくさんあることに、あらためて気付いたりもします。“文字のない絵本”というのもそのひとつで、それには芸術的なもの、隠し絵的なもの、また、社会的メッセージの強いものなどがありますが、今回はリラックスできて心地良いような、大人も楽しめる絵本を紹介したいと思います。

『雨、あめ』

『雨、あめ』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

ピーター・スピア―/著 評論社 1984年6月

人は大人になるにつれて雨の日は憂鬱…なんて思いがちですが、この絵本は大人になって忘れかけていた雨の日の楽しさや発見を思いおこさせてくれます。何より印象的なのはレインコートを着て長靴をはき、大きな傘をさして雨の中に出かける子どもと、それを送り出すお母さんの笑顔です。そして、そこから始まる雨の中の体験を描いた細かい数多くの場面が見ている私たちをワクワクさせてくれます。また、それとは対照的に大きく見開きで描かれている水の輪と長靴。最後の雨上がりの澄んだ明るい風景。これがとても素敵です。これから迎える梅雨の季節、この絵本を開くたびに新しい発見があり楽しい気持ちで過ごせるかもしれません。

『なみ』

この本はまさに、夏を感じる絵本です。小さな女の子が波うちぎわで波と遊んでいるのですが、横長の本にさらに見開きでその様子が描かれているので海の広さと波の動きを強く感じることができます。波をからかうような女の子のしぐさと表情、そのそばにいるカモメたちの姿。そして、それらと対話しているように描かれた波がどれも楽しく、生き生きと感じられます。しかもこれが、青と白と黒だけで描かれているというのも感動です。とにかく、女の子の表情が見ている側も笑顔にしてくれる一冊です。

『ミスターワッフル!』

『ミスターワッフル!』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

デイヴィッド・ウィーズナー/著 BL出版 2014年4月

この本は文字のない絵本といっても、ネコの飼い主の言葉が少しだけ入っています。それがネコのワッフルと宇宙人の世界を人間だけが気付いていないんだなぁ…ということを印象付けます。物語の展開は、先に紹介した二冊の絵本とは全く違い、コマ割りになっていて短編の映画を見ているようです。細かく描かれたネコのワッフルの表情や宇宙人の表情、アリやてんとう虫の登場に読む側の想像はどんどん広がっていきます。自分一人でニヤニヤしながら楽しむのもよし。家族と一緒に語りあいながら楽しむのもまた良いかもしれません。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。