中央図書館 杉本敏子
今年の夏は、日本人宇宙飛行士油井亀美也さんが国際宇宙ステーションで長期滞在を開始したり、日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機が打ち上げられたりと宇宙のニュースが続きました。科学の進歩により月にうさぎがいるという時代ではなくなりましたが、秋の夜は虫の声を聞きながら月をながめてみませんか。今年の中秋の名月は9月27日です。月にちなんだ本を紹介します。
高橋順子/文 佐藤秀明/写真 デコ 2012年10月
原田康子/著 新潮社文庫 1988年3月
舞台は北海道。わけあって祖母の家で暮らしている高校教師のまりは、中秋の名月の夜、愛犬と散歩に出た豊平川の河原で奇妙な男と出逢う。男は津軽藩士・お手廻り組、杉坂小弥太と名乗った。アイヌの老婆・フチの魔術によって、故郷に帰りつくつもりが300年の時を越えて現代に現れた。フチの魔術は1年しか利かず1年後の中秋の名月の夜には元の地に戻るという。最初から小弥太の話を信じ、受入れて親身になる明治生まれの祖母と怪しんで反発する孫娘のまり。300年前の侍と現代女性との不思議でちょっぴり切ない恋のお話です。
『坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
小川一水[ほか]9名/著 光文社 2013年1月
お月見といえばお団子…和菓子です。この本は、作家の坂木司さんが「和菓子のアン」の打ち合わせで「他の方が書いた和菓子のお話も読んでみたい」と言ったところ、編集者さんに「和菓子をモチーフにしたお話はあまりありませんね」と言われたので「ないなら、書いてもらいたいなあ」ということで、十人の作家さん(小川一水、木地雅映子、北村薫、近藤史恵、坂木司、柴田よしき、日明恩、恒川光太郎、畠中恵、牧野修)にお願いして書いてもらった和菓子モチーフの短編集です。
甘くてハッピーな「和菓子のアン」の続編「空の春告鳥」、仕事に疲れ旅に出たモロッコで偶然もらった和菓子が祖母との思い出を呼び起こす「迷宮の松露」など、和菓子モチーフでも甘い話だけでなく、ミステリーあり、近未来の話あり、十人十色楽しんでいただける1冊です。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。
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