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よむとす No.116 どんな時でもお腹は空くもの 2015年11月01日

[2017年6月8日]

ID:164

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どんな時でもお腹は空くもの

上郷図書館 北村美由紀

私たちは楽しい時も悲しい時もお腹が空き食事をします。1人の食事も悪いものではありませんが、誰かと一緒の食事は格別ですね。食べ物を通して幸せな気持ちになったり、逆に味気なく寂しい気持ちになったりすることもあるのではないでしょうか。食事にはいろいろな思い出が詰まっています。
今回は“食事”や“食べ物”を通して人との触れ合いを感じられるような本を紹介したいと思います。

『あつあつを召し上がれ』

この本は“食事”をテーマにした7つの話が掲載されている短編集です。食事を通して人との関わりを描いています。「かき氷」から始まり、「ぶたばら飯」、「松茸」、「おみそ汁」とさまざまな料理を取り扱います。心が温まる食事の話から、寂しい気持ちになる別れの食事、旅立ちの前の食事など、さまざまな食事の情景が描かれるとともに、それに関わる人たちの心理描写も細やかに表現されています。
嫌なこと、悲しいことがあっても美味しいものを食べれば乗り越えられる、私たちはどんな時でも食とともにあるのだな、ということを感じるお話です。

『生きるぼくら』

主人公の麻生人生は過去に受けたいじめが原因で引きこもりとなり、毎日インターネットやゲームをして過ごし、唯一の家族である母親とも顔を合わさず暮らしていました。生活に疲れた母親は、ある日手紙を残して家を出て行ってしまいます。父も兄弟もいない人生は、蓼科に住む祖母、マーサばあちゃんを頼りますが、そこで出迎えてくれたのは認知症を患い人生のことを忘れてしまったマーサばあちゃんと、その孫と名乗る見知らぬ少女、つぼみでした。人生のことを忘れてしまっても、昔と変わらず優しく接してくれるマーサばあちゃんに触れながら、人生とマーサばあちゃんとつぼみの3人での生活が始まります。
この話の中には、人生にとって大切な食べ物が出てきます。それは“梅干し”です。人生がいじめを受けて引きこもりになる以前は、母親が手作りの梅干しを作ってくれていました。人生はその梅干しが大好きでしたが、いじめの体験が原因で食べられなくなってしまいます。マーサばあちゃんやつぼみと暮らし始め、昼食におにぎりを作ってもらっても、決して梅干しは食べようとしません。
ある日マーサばあちゃんから大切な田んぼの話を聞かされます。今年の米作りを諦めようとしていることを知った2人は、手伝いを申し出て米作りに挑戦します。たくさんの人に支えられながら行う米作りを通して、家族・地域の人の温かさや、食べることの大切さを学んでいきます。自分たちが作ったお米で握った梅干しのおにぎりを食べ、いじめられていた過去を乗り越えるシーンは胸にしみるものがあります。読み終えた後、清々しい気持ちになるお話です。そして、手作りのおにぎりが食べたくなります。ぜひご一読ください。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。