中央図書館 遠山 尚久
「よむとす~こんな本いかが~」の紹介本連載も今回で118回目を迎えます!インターネットが普及し、調べ物もネットで、本を買うのもネットでという昨今です。しかし図書館では、図書館でしか出会えない本、郷土史、事典、雑誌などと、感動的な出会いや心にしみいる出会いに遭遇できます。
図書館で新たな出会いを!
『いま宮澤芳重「地蔵になった男」宮澤芳重に学ぶ』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
宮澤芳重没後45周年記念事業実行委員会/編・出版 2015年11月
宮澤芳重さんは、1898(明治31)年、現在の松川町生田に農家の長男として生まれ小学校卒業と同時に家業(農業)に従事していましたが、勉学への夢を断ち切れず20歳の時、夜逃げ同然で実家を抜け出し上京しました。
東京での暮らしは、人間一人が生きていく上で最低限度以下の日々の暮らしをしていたそうです。それは、昼間は日雇い労働、夜は学びに徹し、暇さえあれば本を読む生活で、その日雇い労働で得たお金を貯めて、貴重な書物を購入しては郷土の飯田図書館へ大学創設準備に向け送り続けました。これが今の飯田市立中央図書館の蔵書である「宮澤文庫」です。また、飯田高等学校への天体望遠鏡の購入資金を送り続け、のちの「天文台」設置に大きな貢献をされました。さらには、郷土の若者たちに、郷土で教育が得られるようにと、飯田に大学設置を提唱されましたが、それは、国立でもない、私立でもない、「郷立大学」構想でした。度々帰省され大学創建に奔走されましたが志し半ばで病に倒れられ72歳でその一生を終えられました。
亡くなられてから月日も経ち、人々の記憶も薄らいでいた昨年「地蔵になった男 宮澤芳重」のDVD上映会を松川町と飯田市で開催、多くの方々に「人間 宮澤芳重」知っていただく中で、ご意見や感想をいただきました。今回、紹介する記録集「いま 宮澤芳重」は郷土の偉人を次世代に語り継ぐために、本年、没後45周年を迎えるにあたり、実行委員会が昨年のDVD上映会を中心にいただいたご意見等をまとめ活字にして記録集として刊行したものです。
宮澤さんを知ることで、その生き方、学びとは何か、一つのものを貫く姿勢、が見えてくる貴重な一冊です。
三浦綾子/著 新潮社 1968年9月
実話をもとにした作品、物語は主人公が10歳頃から始まり、周りの人々に支えられながら少しずつ成長していく姿を描いた作品です。やがて、成人し北海道へ渡り鉄道員として働くようになります。
そして、1909(明治42)年2月28日、結納のため札幌へ向かう途中、名寄駅を列車は満員の乗客を乗せ発車し途中塩狩峠へさしかかった時に最後尾の客車の連結が外れ勾配の坂を逆走・・・主人公に悲しい結末が。人の命とは何なのか考えさせられる物語です。ぜひ一読ください。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。
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