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よむとす No.62 犬は「びよ」と鳴いていた!? 2013年08月01日

[2017年6月8日]

ID:149

犬は「びよ」と鳴いていた!?

中央図書館 瀧本明子

暑~い夏の日の正午過ぎ、街を歩いていたらどこからか「チリー・・ン」と鉄風鈴の音が聞こえてきました。その音は通りに響き渡って、陽射しは強いのに、一瞬涼しい風が吹いたような気がしました。こういうものを使ってきた日本人はすごい!というわけで、今回は“音”に関連する本をご紹介したいと思います。

『日本の音』

『日本の音』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

コロナ・ブックス編集部/編 平凡社 2011年7月/発行

「日本の音」という本なのに、この本をめくってみると載っているのは日本画や浮世絵ばかりです。でも、その絵からいろいろな音が聞こえてくるのです。たとえば冒頭は雨が降っている絵が八つ。絵をみているとそれぞれの絵から、しとしと降る春雨、急に降ってきたにわか雨、夏の夕立など、ちゃんと違う雨の音が聞こえてくるから不思議です。
季節が移るごとに聞こえてくる自然の音、鳥獣の声、歴史と生活の音、年中行事の音。
この本を見ているうちに、そういえば子どものとき、それまではじーじーアブラゼミの声ばかり聞こえていたのに、お盆の頃になるとみーんみんみんとミンミンゼミの声が聞こえてきて、夏休みももうじき終わりか・・・と悲しかったことを思い出したりもしました。
しんみりと、心の奥深いところに訴えかけてくる本です。じっくり見て、きいてみてください。

『犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い―』

犬が「びよ」!?犬は「ワン」でしょう?いやいや、江戸時代まで日本人は犬の声を、「びよ」とか「びょう」とか聞いていたらしいのです。
この本は、平安時代に書かれた『大鏡』に犬の鳴き声が「ひよ」と出ていたことから擬音語・擬態語に興味を持った文学博士である著者が、擬音語・擬態語の魅力にとりつかれ、その謎と歴史を解き明かしたものです。カラスは「コロク」と鳴いていた、「あっさり」と「さっぱり」の違いは?擬音語・擬態語の寿命などなど、目次を見ているだけでもページをめくってみたくなります。
日本にはたくさんの擬音語・擬態語があります。草野心平なんていう、擬音語や擬態語だけで詩を作ってしまう詩人もいるくらいです。(図書館にも詩集があります。読んでみてください)ぜひこの面白い擬音語・擬態語の世界をのぞいてみてください。

『生きるって人とつながることだ!―全盲ろうの東大教授・福島智の手触り人生―』

何も見えず何も聞こえない生活とはいったいどんなものなのでしょう。ものが見え、音が聞こえることが当たり前の私たちにとって、想像することさえ難しいそんな生活をし、大学教授までされている方がいます。
この本の著者である福島智さんは、3歳で右目、9歳で左目が見えなくなり、14歳で右耳、18歳で左耳まで聞こえなくなりました。「盲ろう者となって最もつらかったのは、周りの状況がまったくつかめなくなったことと、他者とコミュニケーションが極端に困難になったことである。」そんな著者が「指点字」によって他の人とコミュニケーションをとれるようになり、外の世界に出会い大学に進学し・・・。好奇心と豊かな想像力をもち続け歩んできた、ユーモアに溢れた福島さんの19歳からおっさんになるまで(著者の言葉です)の“手触り”人生体験記録です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。