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よむとす No.32 図書館で一番控え目な本に愛の手を 2012年05月01日

[2017年6月8日]

ID:146

図書館で一番控え目な本に愛の手を

中央図書館 小池久仁子

あたりまえのことですが図書館には多種多様の本が並んでいます。次から次へと利用者の方を渡り歩きいろんな人の手垢を勲章としている本もあれば、自分の本分をいつか必ず見出してくれるはず、必ずや誰かが手に取ってくれるはずと信じて、書架でその日が来るのをじっと待っている本もあります。
今回はそんな控え目な本たちの背中をそっとやさしく押してあげ、このチャンスに多くの人たちに存在をお知らせできたらと紹介します。皆さんの手がこの本に伸びることを信じて・・・・います。彼ら?彼女ら?はあなたの手のぬくもりを待っているはずです。いえいえ待っています。

『三田村鳶魚(みたむらえんぎょ)全集 全廿七巻 別巻一巻』

『三田村鳶魚(みたむらえんぎょ)全集 全廿七巻 別巻一巻』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

三田村鳶魚/著 昭和50年 中央公論社/発行

この本は三田村鳶魚が江戸時代の御公家様からお大名、庶民の生活・文化全般について研究し個々に発表していたものを全集にまとめたものです。鳶魚は明治から昭和にかけて活躍した随筆家であり江戸の文化の研究家です。江戸の歴史の研究本ということと、27冊(別巻を除く)という冊数に尻込みしてしまいそうですが(これが控え目な原因か?)この本は他の歴史書とは少し違うように思えます。書かれている内容は好奇心をくすぐり、随筆家でもある彼の文章はまるで短編の小説の様なのです。普段時代小説を読んでいる方なら読み物として充分楽しめると思われます。
控え目な本の割には装丁は黄緑色の布製で、金字で「三田村鳶魚全集第○巻」と書かれた背表紙はちょっと派手目な感じです。一巻ごとの箱入りで、箱には巻ごとの目次がはいっていますので興味の湧いた巻から手に取って楽しむことができます。これもまたこの本の良いところです。(こんなに良いことずくめなのになぜ控え目・・・・)
ちなみに第二巻にはお大名の話がかかれており、一話目に「お藤は烈女か」あの飯田藩のお藤のことが書かれています。
中央図書館中二階、歴史の書架で揃って待っております。ぜひご一読を。