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よむとす No.63 被曝する、ということ 2013年08月15日

[2017年6月8日]

ID:143

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被曝する、ということ

鼎図書館 矢澤惠

東日本大震災にともなう福島第一原発の事故以来、原発や放射線の本、それに関連する本がたくさん出版され、図書館にもさまざまな切り口の本が入っています。それらの本の貸し出しや要望の多さからも、市民の方の関心の高さがうかがえます。
でも実際に、被曝するってどういうこと?そんな本を紹介します。

『朽ちていった命 -被曝治療83日間の記録-』

『朽ちていった命 -被曝治療83日間の記録-』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

NHK「東海村臨界事故」取材班/著 岩本裕/執筆 新潮文庫刊 2006年10月/発行
『東海村臨界事故 -被曝治療83日間の記録-』(2002 岩波書店)改題

1999年9月30日茨城県東海村の核燃料加工施設で起きた臨界事故では、作業員2人が致死量をはるかに上回る放射線を浴びました。この本は、被曝線量がもっとも高かった大内久さんの治療を続けた医療スタッフを追った、NHKのドキュメントをまとめたものです。
被曝直後の入院時には、顔面と片手が少し赤く腫れて痛みがある程度で、とても重症患者には見えなかった大内さん。しかし、彼の骨髄細胞を調べた医師は目を疑います。「命の設計図」である染色体がばらばらに砕け散っていたのです。それは、今後、新しい細胞が作られないことを意味しました。再生することをやめ、次第に朽ちていく体。白血球が急激に減り、皮膚が剥がれ落ちていき、次々と起こる放射線障害。
大内さんと医療スタッフの83日間の壮絶な戦いの記録は、「臨界事故で作業員2人が死亡」という無機質な事実の後ろにある、被曝の真実の姿をまざまざと感じさせてくれます。

『夕凪の街 桜の国』

原爆投下後の広島を描いた漫画作品です。
第1部『夕凪の街』は1955年(終戦10年後)被曝して広島で生きる女性を、第2部『桜の国(一)』は1987年東京、第3部『桜の国(ニ)』は2007年と時代を移し、3世代にわたる家族の物語が描かれています。
やわらかな絵で、家族の日常やあたたかな恋愛を穏やかに描写する中にあらわれる、原爆の影。それは何年もたってから発症する後遺症だったり、「被曝して生き残ったこと」の心の傷だったり。被曝者差別、被曝2世への差別もあります。
普通に生きる人々にとって原爆とは何だったのか。深く考えさせられる作品です。
2004年文化庁メディア芸術祭コミック部門大賞受賞。アジアや欧米でも翻訳出版され、高い評価を得ています。

『よくわかる放射線・放射能の問題』

『よくわかる放射線・放射能の問題』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

矢沢サイエンスオフィス/編著 学研教育出版 2013年2月/発行

ではいったい「原子力」とはどういうもの?放射線の出るしくみは?という疑問に答えてくれる科学の本です。小学校高学年ぐらいから大人まで、大変わかりやすく読めます。
基本的な原子の構造から核分裂のしくみ、放射線とはどういうものか、原子力発電所と原爆の違いなどが、図もたくさん用いてわかりやすく説明されています。人体に与える影響では、放射線が細胞やDNAをどのように傷つけるのかが図解され、前述2冊の本の理解を深めてくれます。また、福島第一原発の事故以来問題になっている、低線量の放射線を長期にわたって浴びた場合の健康への影響についても、各説それぞれをていねいに紹介してあります。
今必要な、放射能についてきちんと知ることを手助けしてくれる本です。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。