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よむとす No.88 リンボウ先生『源氏物語』を語る 2014年09月01日

[2017年6月8日]

ID:140

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リンボウ先生『源氏物語』を語る

中央図書館 伊藤 しのぶ

毎年恒例となりました「第14回 図書館まつり」。今年度は、9月27日(土曜日)~10月5日(日曜日)に行います。
図書館では、期間中「発掘!郷土のすごい人~飯田から全国へ、そして世界へ~」と題して、飯田出身の3人の人物(後藤三右衛門・代田稔・北一明)に注目し、その偉業を広く知っていただくため展示を行います。
また、図書館まつり実行委員会共催で、10月4日(土曜日)鼎文化センターにて「林望講演会 リンボウ先生、『源氏物語』を語り人間を語る」を開催します。
テレビ・ラジオなどでご活躍のリンボウ先生の著書『謹訳 源氏物語 全十巻』、『謹訳 源氏物語 私抄』を中心に『源氏物語』の魅力、たくさんの登場人物から見えてくる人間像・人生観を余すところなく講演していただく予定です。それに先駆けまして、前述しました2作品をご紹介します。

『謹訳 源氏物語(全十巻)』

そもそも『源氏物語』とは、平安中期今からおよそ千年以上前に紫式部により書かれた長編小説であるのは、皆さんもご存知のことと思います。そしてこの古典文学の現代語訳はさまざまな作家たちにとって試みられてきました。
代表的なものに与謝野晶子、谷崎潤一郎、現代では田辺聖子、瀬戸内寂聴などが有名です。
また、外国語への翻訳も盛んでその評価は世界的にも高いことがうかがえ、多くの人々に読み継がれています。
今回、『謹訳 源氏物語』を読んで、なんと読みやすく分かりやすいのだろうと感じました。
しかもリンボウ先生の現代語訳は、読みやすいのに原文に近い表現がされており原文の美しさや品格すら感じられました。古典はちょっとという方に特に読んでいただきたい。そして、これから『源氏物語』を学ばなければならない学生さんたち、読んでおくといいとおもいます。私も学生の時に読みたかったです。

『謹訳 源氏物語 私抄』

こちらは、リンボウ先生が執筆中に感じたさまざまなことについて、非常に興味深い切り口で語られ、『源氏物語』をより一層楽しむことができます。
例えば、「第1章 親子の物語としての源氏物語」の中で、光源氏の父桐壺帝の正室である弘徽殿女御は、右大臣の娘という申し分のない身分でありながら、自分より身分の卑しい桐壺更衣(源氏の母)が、帝のご寵愛を受けていることに嫉妬し、更衣の死後もなお子である源氏を恨み続け、その失脚を謀りやがて須磨へ追いやることになります。ここまで聞くと、弘徽殿女御はなんと嫉妬深く気位の高い人なんだろうと思われる方も多いでしょう。私自身も弘徽殿女御には、あまりいいイメージは持っていませんでした。しかし、本書によれば、弘徽殿女御は自分の産んだ一の御子が立太子して、やがて皇位に即くことに暗雲をもたらした桐壺更衣とその子光源氏の存在は、この上なく疎ましいものだったに違いない。まして最高の美と教養と天才とおそろしいほどの声望を一身に集めている圧倒的なスーパースターが相手ともなれば、ごくごく穏やかな人であっても平気では、いられない。弘徽殿女御の桐壺更衣に向けられた敵意は、「恋の物語」の嫉妬心ではなく、明らかに「親子の物語」における切実な自己防衛にほかならないとあります。なるほど。ただの嫉妬深いと思われていた弘徽殿女御は、自分の子の出世や家族の将来を脅かされ、あれほどまでに執拗に源氏を恨み続けていたのかと考え、今までの弘徽殿女御像が明らかに変わりました。
この他にも先生の独自の視点で書かれた思いが、とても面白く本書を読み終えてから、再び『源氏物語』を読み返してみるとまた違った物語の世界が広がるのではないでしょうか。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。